ファシリテーションとは何か?ファシリテーターに求められるスキルと導入方法について解説

2020年7月17日

ファシリテーションの概要

ファシリテーションとは、プロジェクト・メンバー間でコミュニケーションを取りやすいように中立的な立場でサポートすることです。ファシリテーションの役割を担う人のことを「ファシリテーター」といいます。
ファシリテーションは1960年代に、アメリカでグループによる学習や会議を効率的に運営する手法として開発されました。21世紀頃から、グローバル化も進んでいき、多種多様な価値観を持つ人が集まるようになった背景から、ファシリテーションの重要性が再確認されています。
プロジェクトにおいては、さまざまな意思決定を会議の場で行います。そのため、コミュニケーションを円滑にするためにファシリテーターや、ファシリテーションのスキルをもったプロジェクト・マネジャーが求められます。

ファシリテーターに求められるファシリテーションスキル

ファシリテーターには、下記のようなスキルが求められます。

  • 場をデザインするスキル:プロセス設計
  • コミュニケーションスキル:傾聴・復唱・質問・主張・非言語メッセージの解読
  • 構造化のスキル:図解・フレームワーク
  • 合意形成のスキル:コンセンサス

このようなスキルは、ファシリテーションスキルと呼ばれています。
プロセス設計や傾聴など、ファシリテーションスキルは近年注目されており、今後はファシリテーターだけでなく、チームリーダーや管理職にもファシリテーションスキルが求められていくことになると予測されています。

ファシリテーターの役割と必要性

ファシリテーターには、次のような役割が求められています。

会議を円滑に進めていく進行役

ファシリテーターがいる場合、会議やミーティングはファシリテーターがリーダーの役割を担って進めていきます。
会議の中では、行き詰まり・混乱・ぶつかり合い・沈黙などのネガティブな状態になることもありますが、ファシリテーターは会議が円滑に進められるように話し合いに介入していきます。
例えば話が抽象的になりすぎている場合は図解化して参加者の理解を促したり、適切な質問を投げかけることによって議論を深めたりしていきます。
また、傾聴や非言語メッセージの解読により、参加メンバーの心理状態もファシリテーターがケアしていくことで、会議のより円滑な進行に努めていきます。

メンバー間の相互理解を深める媒介

プロジェクト・メンバー間で共通言語と共通認識が統一されていなければ、メンバー同士の誤解・勘違い・すれ違い・ぶつかり合いが発生することもあります。
ファシリテーションでは、ファシリテーターがリーダーの役割を担って、共通言語や共通認識を決めていき、メンバー間の共通認識を深めていきます。
プロジェクトでよくあるトラブルとしては、議論は白熱するものの、参加者の想定しているものが異なっており、話し合いの終着点を見つけられないというものです。
例えばWebサイトのリニューアルプロジェクトであれば、営業部はWebサイトは商品案内のツールだと考えており、人事部は会社紹介のツールだと考えていたら、両者の認識を合わせていかなければ、プロジェクトのゴールを見出すことができません。
こうした場合にファシリテーターは会議の参加者の認識合わせを行ったり、言葉の定義を進めていったりしながら、参加者間の相互理解を深める手助けをしていきます。

アイデアを創発し合える場づくり

プロジェクト・メンバーは一人ひとり個性を持っています。個性が異なるメンバーが意見を出し合うことで、アイデアが続々と出てきます。
しかし、ぐいぐい意見を発言するメンバーもいれば、異なる意見をもっていても発言しないメンバーもいるでしょう。
ファシリテーターはうまく会議の場をしきっていくことによって、意見を持ちながらも発言ができないような人がうまく会議に参加できるようにしていきます。
ファシリテーションで発言しやすい環境作りができれば、参加メンバーも会議の場を楽しめるようになり、会議は創発し合える場となります。

ファシリテーションの手順

ファシリテーターの役割を担う場合は、どのような行動をとれば良いのでしょうか?
ここでは、ファシリテーションの手順について解説します。

1.プロジェクト・メンバーの意識を会議に集中させる

ファシリテーターはプロジェクト・メンバーの認識を合わせ、会議に意識を集中させるように促します。
例えば、会議の開始前後に開催する会議の目的を明示し、共有していくという手法があります。
会議の目的を伝えることで、会議のどこに集中すればいいかを明確にします。明確にすることでメンバーの意識を集中させることができます。

2.会議の進行に同意を得る

ファシリテーターの役割を担う方は、会議中の禁止事項や所要時間などを説明してメンバーに同意を得ます。
例えば、ブレインストーミングなどを会議で用いる場合は、「他人の意見を否定しない」「どんな意見でも受け入れる」というルールがありますが、こうしたルールを共有し、会議の円滑な進行を目指していきます。

3.中立的な立場でメンバーを励ます

会議中に行き詰まり・混乱・批判などが起きることも少なくありません。このような状況に陥った場合は、ファシリテーターは中立的な立場で励ましていきます。
例えば、プロジェクトの会議においては、社長や部長など、役職の高い人物の発言の影響力が強く、新入社員などの意見はなかなか聞き入れてもらえないという状況もあります。
長い物に巻かれてしまってはファシリテーターが存在する意味がなくなってしまうため、役職の高い人物の発言も受け入れながらも、その他の意見も汲み上げていく必要があります。

4.信頼関係を構築してコミュニケーションを促進する

ファシリテーターは相手の話し方のペースに合わせたり、相手の意見を否定せずに聞いて肯定的に受け止めたりしていくことで、会議中のコミュニケーションを促進させていきます。

5.状況を観察する

ファシリテーターは会議中に何が起きているのか、誰がどのような心理状態になっているか等状況を良く確認して、適切なタイミングでケアをしていきます。
会議が迷走し始めたら、状況を図に書きながら整理をしたり、その場で結論がでない内容については次回までの調査としたりして、会議の内容を切り分けていきます。

6.話を掘り下げる

発言の中には、曖昧な話や明瞭ではない話もあるため、ファシリテーターは質問などを投げかけながら、話を掘り下げていきましょう。
話を掘り下げ、具体的な内容にしていくことでプロジェクト・メンバーも内容を理解、把握できるようになります。

7.決定する

ファシリテーターは会議で話し合った内容をまとめて、物事を決めていきます。
この時も、プロジェクト・メンバーのコンセンサスを得ていきながら、納得のいっていないメンバーが発生しないように進めることが肝心です。