サイトサーベイとは何か?サイトサーベイの方法とポイントを解説

2022年6月28日

サイトサーベイとは

サイトサーベイとは電波調査のことで、電波測定ツールで電波強度を測定し、電波状態を可視化します。
無線LANのアクセスポイントの設置台数や設置位置、電波強度、チャネル設計を適切にすることにより、安定した無線LAN環境を構築することができます。その環境構築のためのデータを取得することが、サイトサーベイの目的です。

サイトサーベイの方法

電波測定

サイトサーベイは、電波測定ツールで電波の強度を測定します。その際に基準とされるのがRSSI (Received Signal Strength Indicator) の値です。RSSIは電波の強さを示す値で、単位はdBmで表現します。
RSSIの値が大きいほど信号強度が強く、通信を行うのに適しています。

無線LANのサイトサーベイでは、-67dBm以上が推奨されています。この値はネットワーク機器大手メーカーCiscoによって定義されている値です。電波強度はスマートフォンのアプリなどでも手軽に測定できます。

ヒートマップの作成

企業案件では、ヒートマップを作成することが一般的です。
ヒートマップとは、電波強度などの数値データを色で視覚化したものです。専用ツールを使い、フロア内を歩き回りながら電波を測定すると、フロア図上に色別で電波の強度が表示されます。
ヒートマップを作成することで、フロア内のどの場所で電波が弱いか、一目で判断できるようになります。

サイトサーベイを実施するタイミングとポイント

サイトサーベイはいつ実施するか?

サイトサーベイは以下のタイミングで実施します。

  • アクセスポイントの設置前
  • アクセスポイントの設置後
  • アクセスポイントの不具合が発生したとき

ここからはサイトサーベイを実施する3つのタイミングについて、注意すべきポイントを解説していきます。

アクセスポイントの設置前

オフィスや工場など、ひとつの場所に複数のアクセスポイントを設置する前には、必要なアクセスポイントの台数を決定するためにサイトサーベイが実施されます。

アクセスポイントの設置場所を机上の理論や計算だけで決定すると、現地の状況によっては計算通りの電波強度が実現できない可能性があります。特に注意すべきは電波干渉です。
現在広く利用されているIEEE802.11g無線LANはISMバンドと呼ばれる2.4GHzを使用しています。2.4GHz帯は電子レンジなどの電化製品やBluetoothなどでも利用されているため、電波干渉を起こす可能性があります。
一方、5GHzは家電製品との電波干渉は受けませんが、2.4GHz帯と比較して障害物に弱く、電波の届く距離が短いため、環境によっては接続が安定しない可能性もあります。工場など機械が多くある場所や、オフィスにある柱や棚などで電波が届く範囲が狭くなる可能性があります。
また、オフィス街だと近隣の企業が使っている無線LANの電波が社内にも侵入し、電波が干渉することもあります。

事前にサイトサーベイを実施し、適切なアクセスポイントの設置台数を見積り、設定を行うことは、高品質で安定した無線LAN環境の実現につながります。

アクセスポイントの設置後

アクセスポイントを設置した後は、電波が必要な範囲に届くかどうかを確認します。また、無線LAN環境を導入した後に「電波が届かない場所がある」などの申告がユーザーからあった場合にも、サイトサーベイを実施することがあります。

この他、アクセスポイントに端末を接続した状態で移動した際に、電波の強いアクセスポイントに自動的に接続が切り替わるローミングが機能しているかを確認することもあります。
ローミングについては下記の記事もご参照ください。

アクセスポイントの不具合が発生したとき

Wi-Fiの接続が途切れるなど、つながらない場所があるなどの不具合が発生した時は、原因を特定するためにサイトサーベイを実施します。確認するポイントは、アクセスポイントの設置前や設置後と同じです。

また、不具合が発生した際には、単にサイトサーベイを実施するのではなく、アクセスポイント設置の前後で実施したサイトサーベイの結果を比較することも大切です。
たとえば、新築のオフィスや工場で、アクセスポイントを設置した時は障害物が何もなかったものの、その後什器や機械の設置により環境が変わり、想定通りの電波強度が得られなくなることもあります。
このように、アクセスポイントを設置する前後で現地のネットワーク環境が変わっている可能性もあるため、その点も考慮して不具合の原因を特定していきます。

参考