一斉テストとは何か?システム開発のテスト法を解説
一斉テストの概要
システム開発における「一斉テスト」とは、結合テストの1つです。
システムの部品であるモジュールを徐々に追加しながらテストをしていく増加テストとは対照的に、一斉テストは複数のモジュールを一度に結合して実行するテスト手法を指します。
一斉テストの向き・不向き
一斉テストはすべてのモジュールが完成した後、それらのモジュールをすべて結合し、一気にテストを行います。
段階を踏まずにテストを行うため、トラブルなく順調に進めば、もっとも費用対効果に優れたテストとなるでしょう。
しかし、テスト中に問題が発生した際は、どこが問題になっているのかが分からないため、発生箇所の特定から始めなければなりません。
その結果、一斉テストではバグの解析や対処などに多くの時間がかかります。
このような性質から、一斉テストは規模が小さく単純なシステムには適したテストと言え、逆に開発規模の大きなシステムや複雑なシステムには向いていないと言えるでしょう。
大規模な開発プロジェクトで一斉テストが用いられる場合は、スケジュールが遅れてしまい、やむを得ず実施されることがほとんどです。
一斉テストのメリット
一斉テストは結合テストを一度に済ませてしまうため、増加テストの際必要な「ドライバ」「スタブ」などのダミー部品を作る必要がありません。
これらのダミー部品を作る手間がかからないことが、一斉テストの大きなメリットです。
準備に時間がかからず、コスト削減にも繋がります。
一斉テストとビッグバンテストの区別
結合テストの種類に「ビッグバンテスト」というものがあります。
これも一斉テストと同じように、完成したモジュールを合体させて一度にテストを行うものです。
一斉テストとビッグバンテストは性質が似ており、等しいものとして扱うこともあれば、違うものとして区別する人もいます。
もし区別するのであれば、ビッグバンテストは「すべてのモジュールを単体テストのみ行って結合するもの」、一斉テストは「すべてのモジュールを単体テストもせずに結合するもの」と考えるといいでしょう。
対称的な「増加テスト」
一斉テストと対照的なテスト手法に「増加テスト」があります。
増加テストでは、基準となるモジュールを1つずつ結合し、テストが終わり次第、さらにモジュールを追加で結合してテストするという流れを繰り返し、システムのテストを行います。
一斉テストと違い順を追ってテストするため、不具合が発生したときにバグを解消しやすいというメリットがあります。
ただし多くのモジュールは他の部品がなければテストできないため、「ドライバ」「スタブ」などのダミー部品の用意が必要です。
規模が大きくなるほど用意するダミー部品の数も増えるため、テストの負担は大きくなりやすいと言えるでしょう。