許容可能な損失の原則とは何か?エフェクチュエーションの思考様式の一つを解説
許容可能な損失の原則の概要
許容可能な損失の原則は、エフェクチュエーションの思考様式の一つで、これから始める事業でどこまで損失を許容する気があるのか、あらかじめコミットすることです。
エフェクチュエーション(Effectuation)とは、高い不確実性に対して、予測ではなく、コントロールによって対処する思考様式です。
エフェクチュエーションについては下記の記事もご参照ください。
従来の意思決定方法との違い
従来、起業あるいは新規ビジネスをするかいなかは、予想される利益で判断されてきました。たとえば、市場調査などから予想される収益を見積り、その収益と投資金額を比較して、起業するかどうかを考えてきました。
しかし、この従来の意思決定方法は未来の収益に関する信頼できる予測ができなければ効果が期待できません。
そうした中でエフェクチュエーションの許容可能な損失の原則では、「どこまでの損失を許容できるか」を考えて、起業や新規ビジネスの準備をします。
この思考法では起業に踏み切るまで損失を減少させればよいため、行動に移しやすくなります。
「許容可能な損失の原則」で学習塾を開くなら
従来の意思決定方法と許容可能な損失の原則での考え方の違いを、学習塾の開業で考えていきましょう。
従来の意思決定方法の場合
市場調査とそこから予測される収益を判断軸にする従来の意思決定方法で学習塾を開業する場合、ターゲットにしている地域の人口や子どもの数、ニーズや競合などを調査することから始まります。
そして、開業に適した場所を見つけ、そこで塾を開いた場合に入塾するだろう子どもの数を予測し、開業やその経営にかかる費用を見積り、実際に開業するかどうかを判断します。
許容可能な損失の原則の場合
許容可能な損失の原則で塾を開く場合は、「月々30万円の損失であれば、1年間は耐えることができる。1年間やってみて、うまくいかなかったら廃業しよう」というように考えます。
また、許容可能な損失を予め考えるため、費用を抑えることで起業に踏み出しやすくなります。
たとえば、「費用を抑えたいから最初は自宅で開業しよう」「テナントの料金が上がっているから、ネットで開業しよう」というように、費用を下げて、起業を実現します。