エフェクチュエーションとは何か?優れた起業家が実践している5つの思考法
エフェクチュエーションの概要
エフェクチュエーション(Effectuation)とは、高い不確実性に対して、予測ではなく、コントロールによって対処する思考様式です。
エフェクチュエーションはアメリカのアントレプレナーシップの研究者であるサラス・サラバシー(Saras Sarasvathy)によって発見されました。
サラスはアメリカの成功した起業家リストの掲載者で、個人・チームを問わず、1社以上を起業し、創業者としてフルタイムで10年以上働き、最低でも1社以上を株式公開した人物を研究対象とし、起業家が直面する10の典型的な問題についての意思決定の調査を行いました。
この研究から、サラスは5つの特徴的なヒューリスティクス(経験則)を発見し、それらの総体をエフェクチュエーションと名付けました。
エフェクチュエーションの5つの思考様式
では、5つの特徴的なヒューリスティクスとはどのようなものなのでしょうか。
ここからはエフェクチュエーションを構成する5つの思考様式を紹介していきます。
手中の鳥の原則
手中の鳥の原則とは、すでに所有している手段や資源を活用し、そこから何ができるかを考える思考様式です。
許容可能な損失の原則
許容可能な損失の原則とは、起業がうまくいかなかった時に発生する損失が許容できるか否かを基準に判断を行うという思考様式です。
クレイジーキルトの原則
クレイジーキルトの原則とは、コミットメントを提供してくれる、つまり関与してくれる可能性のある、あらゆる利害関係者(ステークホルダー)とパートナーシップを築こうとする思考様式です。
レモネードの原則
レモネードの原則はおもわしくない自体であっても、偶然を受け入れ、それを利用しようとする思考様式です。
飛行機のパイロットの原則
飛行機のパイロットの原則とは、コントロール可能な活動に集中し、望ましい結果を出そうとする思考様式です。
なぜエフェクチュエーションは注目されているのか?
いま、なぜエフェクチュエーションが注目されているのでしょうか。
これまでの起業や経営は、予測することに重きが置かれてきました。
たとえば、新製品を市場に出すという時も、従来は念入りにリサーチを行い、事業計画を練って世に製品を出し、周りの環境を見ながら軌道修正をしていきました。
しかし、この従来の手法は未来予測がしやすく環境で、資源の豊富な大企業なら採用しやすいのですが、VUCAと呼ばれる予測不可能な時代で、手持ちの資源が少ない起業家が採用するのには適していません。
こうした中でサラスが発見したエフェクチュエーションは手持ちの資源が少ない起業家にも採用しやすく、未来の予測がつきにくい現在に適しているため注目を集めています。
参考
書籍
- 吉田満梨、中村龍太『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』ダイアモンド社、2023年
Webページ
- https://en.wikipedia.org/wiki/Saras_Sarasvathy(2024年8月7日確認)