ロジカル・シンキングとは?考え方やビジネスでのメリットを解説
ロジカル・シンキングとは?
ロジカル・シンキングとは、根拠と結論のつながりを明確にしたうえで、物事を客観的かつ合理的に考える思考法のことです。日本語では「論理的思考」と訳されます。シンプルに言うと「〇〇だから△△」というつながりを意識した考え方です。
根拠と結論を適切に結びつけるのは、案外難しいものです。考えている途中で関係性が混乱したり、導き出した結論を相手に理解してもらえなかったりします。そのようなことを防ぐために、ロジカル・シンキングが役立ちます。
ロジカル・シンキングは全ての社会人に必須のスキルです。仕事に加えて、日常生活にも取り入れて、積極的に身に付けていくと良いでしょう。
ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングとの違い
ロジカル・シンキングに似た思考法にクリティカル・シンキングがあります。
クリティカル・シンキングとは、状況を掘り下げて「なぜそうなるのか」「本当に正しいか」を問い続けて結論を導く思考法のことです。「批判的思考」と呼ばれることもあります。
ロジカル・シンキングが問いに対する解答を導くためのものだとすると、クリティカル・シンキングは問いそのものを疑う考え方と言えるでしょう。
ロジカル・シンキングと併せて活用することで、問いに対する解答に更なる説得力を持たせることができます。
クリティカル・シンキングについては、下記の記事もご参照ください。
ラテラル・シンキングとの違い
ロジカル・シンキングとは対照的な思考法にラテラル・シンキングがあります。
これは既成概念や固定観念に捕らわれないで自由な視点・発想で物事を考える思考法です。「水平思考」と呼ばれることもあります。
ロジカル・シンキングは「垂直思考」とも呼ばれ、縦に筋道を作って掘り下げる思考法であり、結果として一つの論理的な結論を導くものです。一方、ラテラル・シンキングは多面的な思考法であり、必ずしも結論の数が一つだけになるとは限りません。
ラテラル・シンキングについては、下記の記事もご参照ください。
思考法を使い分ける
『ビジネス思考法使いこなしブック』では、これまでに紹介したロジカル・シンキング、クリティカル・シンキング、ラテラル・シンキングの3つの思考法の使い分けについて次のように解説しています。
- クリティカル・シンキングで状況を疑う
- ラテラル・シンキングで周囲から類似事例を探す
- ロジカル・シンキングで問題をブレイクダウンする
このように3つの思考法を使い分けることで、問題解決に深みと説得力を与えることができます。
ロジカル・シンキングの考え方
『思考法図鑑 ひらめきを生む問題解決・アイデア発想のアプローチ60』によると、ロジカル・シンキングは以下で紹介する流れで考える思考法とされています。
何を論点にするか決める
ロジカル・シンキングで何について考えるのか「論点」を最初に設定します。「論点」とは議論の中心となる問題点であり、ロジカル・シンキングでは「答えを出すべき問い」と言い換えることができるでしょう。
情報を集める
決めた論点に対する結論を出すために必要な情報を集めます。情報はやみくもに集めるのではなく、ある程度分解した論点ごとに整理しておき、集めるべき情報を可視化しておくと効率的です。
集めた情報から言えることを考える
次に集めた情報から言えることを考えます。これは情報を解釈するステップであり、個別の情報の意味を考えつつ、論点に対する結論を導くことを目指します。
論理を構造化する
最終的な結論が出せたら、論点から結論までの論理を構造化します。ここでは結論を頂点とし、底辺にいくつかの根拠がある、ピラミッド型の構造に整理するのが効果的です。
ここでは、論理の飛躍を防ぐために「So what?(だから)」と「Why so(なぜなら)」という考え方を利用します。
「So what?」とは、手持ちの情報から「結局どういうことなのか?」を導く作業であり、「Why so」とは、「なぜそのようなことが言えるのか」を検証・確認する作業のことです。
また情報が漏れなくダブりなく確認できているか、つまり「MECE(ミーシー)」に従っているかどうかも注意深くチェックします。
ロジカル・シンキングのビジネスでのメリット
ロジカル・シンキングをビジネスで活用するメリットには次のようなものがあります。
問題解決力が高まる
ロジカル・シンキングを身につけることで、ビジネスにおける問題解決力が高まります。ロジカル・シンキングは問題を正しく分析することや、適切な解決策を導くための強力な武器となります。
自分の意見が正しく伝わる
ロジカル・シンキングを使いこなすことで、他者に自分の意見を正しく伝えることができます。意見の伝え方が下手だと、相手に誤解されるだけでなく、自分も相手のことを物わかりの悪い人だと判断してしまいがちです。
『使う! ロジカル・シンキング 「結局、何が言いたいの?」と言わせない最強の伝え方』では、ロジカル・シンキングが身についている人は、どのように説明すれば相手に伝わるか考えることができるため、スムーズなコミュニケーションができると解説しています。
逆に、相手の話が分かりにくい場合、適切な質問をすることで、相手の意図を明確にして伝えようとしていることを理解することもできます。
自分の意見を正しく伝えるのは、思いのほか難しいものですが、ロジカル・シンキングを身に付けることで解決できます。
分析力が向上する
複雑な問題を複数の要素に分解して、その内容を明らかにする分析力の向上にもロジカル・シンキングが活用できます。分析力とは「なぜ、そうなるのか」「どうしてそういうことが言えるのか」など、物事の関係性を考えるうえでの筋道を作ることです。
ロジカル・シンキングにより、行き当たりばったりで考えるのではなく、物事の関係性を理解しながら分析する力が身に付けられます。
参考
参考文献
- 株式会社アンド『思考法図鑑 ひらめきを生む問題解決・アイデア発想のアプローチ60』翔泳社、2019年
- 照屋華子、岡田恵子『ロジカル・シンキング : 論理的な思考と構成のスキル』東洋経済新報社、2001年
- 吉澤準特『ビジネス思考法使いこなしブック』日本能率協会マネジメントセンター、2012年
- 久保田康司『使う! ロジカル・シンキング 「結局、何が言いたいの?」と言わせない最強の伝え方』日本実業出版社、2021年
参考サイト
- https://www.i-learning.jp/topics/column/business/logical-thinking.html(2023年8月31日確認)
- https://www.recruit-ms.co.jp/glossary/dtl/0000000192/(2023年8月31日確認)
- https://web-camp.io/magazine/archives/54414(2023年8月31日確認)