KPIとは何か?KGIとCSFとの関係性に注目して解説

2020年6月12日

KPIの概要

KPI“Key Performance Indicator"の略称であり、組織が掲げる目標に対して、それを達成するために設定される定量的な指標です。日本語では「重要業績評価指標」と訳されます。
KPIのポイントは「定量的」という点にあります。
組織が目標達成のために何をすべきかが分かっていても、「どのくらいの期間」「どの程度の量」が明確でないとその達成度合いは判断できません。
そこで、KPIでは時間や量を数値で定め、明確な基準をもち、組織の目標達成に向かって行動できるようにします。

KPIの設定手順

KGI及びCSFとの関係性

KPIは、目標達成に向けた手段を実現するために設定される指標です。
つまり、目標及びそれを達成するための手段とセットで成り立つ概念になります。
そして、KPIとセットになっているのが、目標についてはKGI、手段についてはCSFという概念です。
ここからは、経営戦略の立案を例に、KGI・CSF・KPIの関係性を説明します。
一般的に企業は、以下のプロセスで経営戦略を立案しています。

  1. 最終的に達成すべき「目標」を定める
  2. 目標を達成するために最も重要な「手段」を検討する
  3. 手段を実現するための「指標」を決める

このプロセスにおいて、KGI、CSF、KPIとは以下のような意味を持っています。

  • 「目標」を数値で表したもの … KGI
  • 最も重要な「手段」 … CSF
  • CSFを実現するための「指標」 … KPI

ここからはさらにKGI、CSF、KPIについて詳しく見ていきましょう。

KGIを設定する

KGIは、“Key Goal Indicator"の略称です。日本語では、「重要目標達成指標」と訳されます。
このKGIは 売上高や利益率など、企業が達成すべき最終目標を表した指標です。
以下にKGIの例を示します。
現在、年間売上高10億円のEC企業X社があったとしましょう。
X社が来期、年間売上高15億円を目指す場合、KGIは「年間売上15億円」、もしくは「年間売上高50%増」です。

CSFを設定する

CSFは、“Critical Success Factor"の略称で、様々な手段のうちKGIの達成に直結する手段のことを言います。 KSF(Key Success Factor)KFS(Key Factor for Success)とも呼ばれます。
いずれも日本語では、「重要成功要因」と訳されます。
先ほどKGIのお話しをしましたが、企業が設定したKGIはさまざまな要因によって構成されています。
先ほどの 「年間売上高50%増」という目標を掲げたEC企業X社を例にしてみると、ECサイトの売上というのは、簡略化すると以下の2つで構成されています。

  • 顧客単価
  • 販売数

さらにこれらの要因を腑分けしていくと、以下のような要因が見つかります。

  • 顧客単価
    • 商品の単価
    • 購入数
  • 販売数
    • 新規のサイト訪問者数
    • リピートの訪問者数
    • 訪問者に対する購入者の割合(コンバージョン率)

このように、「売上」と一口にいっても売上を構成する要因は様々ありますが、こうした要因の中で「年間売上15億円」というKGIのために最も重要だと考えられるのがCSFです。
X社は自社を取り巻く環境や顧客の動向を分析し、最も重要な要因として「新規のサイト訪問者数」を選択しました。
そして、顧客単価などのデータから具体的に何人の新規のサイト訪問者数がいればKGIを達成できるのかを計算し、「サイト訪問者数を10万人増やす」と決めたとしましょう。
この「サイト訪問者数を10万人増やす」が、KGIに対するCSFになります。
なお、CSFは企業の業種や環境によって異なるので、何を設定すべきかは一概には言えません。
そのため、CSFの設定の際は自社が置かれている環境などを正確に分析する必要があります。

KPIを設定する

最後にKPIを見ていきましょう。
KPIは、CSFを実現するために設定されます。
「サイト訪問者数を10万人増やす」をCSFに設定したEC企業X社について考えます。
サイト訪問者数を増やす手段は様々ありますが、X社はサイト訪問者数を10万人増やすための手段として以下のようなものを考えました。

  • 検索エンジンからの訪問を増加させる
  • リスティング広告からの訪問を増加させる

X社は再度、新規のサイト訪問者数を増加させ、KGIを達成するための以下のような数値を計算しました。

  • 検索エンジンからの訪問者数を毎月3%の上昇率で増加させる
  • リスティング広告のCTRを3%にする

この2つの目標が、KPIとして設定される指標になります。
リスティング広告を見た人がクリックしてくれる割合であるCTRは、比較的容易に改善のための行動をすることができます。
広告のクリック率はコピーや広告のデザインによるため、クリック率を見ながら、それらの内容を改善していけばOKです。
しかし、検索エンジンからの訪問者数の増加については、「毎月3%増やせ」といわれても、具体的に何をすればよいのかわかりません。
そのため、X社はさらにKPIを細分化し、以下のようなKPIを設定しました。

  • 検索エンジンからの訪問者数を毎月3%の上昇率で増加させる
    • 毎月新規ページを100ページ作成する
    • 検索順位が11~20位までのページを、毎月10ページずつ見直し・改善する
  • リスティング広告のCTRを3%にする

このように、提示したKPIだけで、社員やスタッフが具体的なアクションをイメージしにくい場合は、さらに内容を細分化していくとよいでしょう。

KPIの作成手順はKGIの因数分解

KGIを因数分解していくイメージ図

以上、KGIの設定からKPIの設定までの流れをみていきました。
KPIの設定後、設定した数値に届かなければKPIが達成されていない、設定した数値に届けばKPIが達成されていると判断されます。
こうしたKGIの設定からKPIの設定までの流れは、数学の因数分解に近いものがあります。
大切なのは、「KGIを構成するのは何か?」「どの要因が一番重要なのか?」「その要因に影響を与えているものは何か?」「その数値を変えるためには、どのようなアクションが必要なのか?」を考えていくことです。

KPIを用いる際の注意点

全体像を見失わないようにする

これまで見てきたように、KPIを設定するには、KGIを定め、CSFを決めるという手順を踏みます。
しかし、せっかくKPIを設定しても、全体像が掴めないためにKGIやCSFを意識できなければ、間違った行動に走ってしまう場合もあります。
これまでECサイトを運営するX社を例にしてみてきましたが、ECサイト以外の企業であれば「サイトの訪問者数」が重要な要因にならないかもしれませんし、「検索エンジンからの訪問者数」をKPIに設定しても、大きな効果をあげないかもしれません。
このように、KGIとCSF、あるいはKGIとKPIの平仄が合っていなければ、KPIを達成しても目標が達成できず、効果はあげられません。
そこで、目標までのプロセスを図解して「見える化」する必要があります。
具体的には、KPIの設定にあたり、以下の「KPIツリー」を作成することが大切です。

参考画像1:KPIツリー

参考画像1を見ると、目標を達成するまでの流れがよく理解できると思います。
なお、参考画像1では、KPIの下に更にKPIが配置されている部分がありますが、これはKPIを細分化したことを表しています。KPIを細分化した場合は、このようにKPIの下にKPIを配置するという形で作図するとよいでしょう。

KPIに対する社員の理解を統一する

KPIの内容について、目標達成に向かうメンバーが共通認識を持っておくことが大切です。
例えば、「検索エンジンからの訪問者数を毎月3%の上昇率で増加させる」というKPIについて考えます。
この場合、

  • どの検索エンジンのことか
  • 訪問者はどんなキーワードで検索してきても良いのか

などについて社員ごとに勝手な解釈が行われる可能性があります。
そうなると、KPIの達成が遅れてしまったり、KPIを達成してもKGIに影響を与えなかったりする恐れもあります。
そのため、「5W1H」を意識して共通認識を図っておく必要があります。

CSFをきちんと管理する

CSFを固定的な要素と考えてはいけません。
最終的な目標であるKGIは変わらなくても、自社の変化や競合との関係など、環境や時期によってCSFは変化します。
CSFが変われば、当然、KPIも変わります。
CSFをしっかりと見極めて管理しなければ、効果のないKPIの達成に力を費やすことになってしまいます。
無駄な労力を費やさないためにも、CSFをきちんと管理しましょう。

計画倒れしない

どのような計画にも言えることですが、せっかくKPIを設定できても、そこで力尽きてしまっては意味がありません。
当たり前のことのように思われますが、現実には、きちんとした計画が策定できたにもかかわらず実際の行動に活かされていないことは多々あります。
先ほど紹介したKPIツリーを社員やスタッフと共有し、目的意識や取り組む内容の認識を統一させながら、リーダーがしっかりと計画だてて進めていきましょう。

KPIのまとめ

KPIは、目標となるKGIをどんどん分解していくことによって設定できます。
どのレベルにまで分解する必要があるのかは、企業や目標によって様々です。
自社の状況や競合との関係をしっかりと分析し、適切なKPIを設定する必要があります。
KPIを正しく設定して、目標達成を目指しましょう。

参考文献

  • 井徳正吾『「企画書」の基本&書き方がイチから身につく本』すばる舎、2009年
  • 藤井智比佐『図解エッセンシャル バランス・スコアカード&SWOT分析戦略マネジメント超入門(改訂最新版)』TOM PUBLISHING、2015年
  • 大工舎宏・井田智絵『KPIで必ず成果を出す目標達成の技術』日本能率協会マネジメントセンター、2015年