BOSCARDフレームワークとは何か?プロジェクトのスコープを定義するヒント
BOSCARDフレームワークの概要
BOSCARDフレームワークとは、プロジェクトの範囲(スコープ)を定義するのに役立つ7つの要素のことです。
フランスのコンサルティングファームであるキャップジェミニ(Capgemini)で作成されたといわれるこのフレームワークでは、背景(Background)、目的(Objective)、範囲(Scope)、制約(Constraints)、仮定(Assumptions)、リスク(Risks)、成果物(Deliverables)に注目して、プロジェクトの範囲を定義していきます。
BOSCARDフレームワークの7つの要素
上述のとおり、BOSCARDフレームワークでは背景、目的、範囲、制約、仮定、リスク、成果物の7つの要素に注目します。
ここからは、この7つの要素を詳しく見ていきましょう。
背景
背景とは、プロジェクトが実施される環境、政治、ビジネスおよびその他の状況のことです。
目的
目的はプロジェクトの目的や目標を意味します。
範囲
範囲とは「プロジェクトが何を開発するのか」「それにはどのような段階やマイルストーンがあるのか」「必要な資源は何か」を意味します。
制約
制約はプロジェクトを計画する上で対処すべき主な課題や障害を意味します。
仮定
仮定はプロジェクトの理論的根拠や目的、計画および予算を定めるために使用した主な仮説のことです。
この仮説が変更になった場合は、プロジェクト自体の変更が検討されます。
リスク
リスクとは、目標の実現や財政など、プロジェクトに影響を与えるようなリスクを意味します。
このリスクはリストアップし、一覧化しておくとよいでしょう。
成果物
成果物とは、プロジェクトで生み出す主な成果物のことを指します。
また、プロジェクトで得ようとしている最終的な製品やサービスが、さまざまな成果物で構成されている場合は、相互の関係や、プロジェクトの目標との関係も整理しておく必要があります。
BOSCARDフレームワークの活用
BOSCARDフレームワークを使い、7つの要素の内容を明確にすることで、プロジェクトのスコープの定義がしやすくなります。
このBOSCARDフレームワークの内容をふまえて、プロジェクト・マネジャーはエグゼクティブ・スポンサーをはじめとする主要なステークホルダーと以下の点を確認していきます。
- スコープ
- 受け入れ基準
- 成果物
- 除外
ここからは、上記の4点で何を確認すべきかを解説していきます。
スコープ
プロジェクト・マネジャーはステークホルダーと「スコープは明確であるか」「必要な機能や特徴が全て含まれているか」を確認していきます。
受け入れ基準
プロジェクト・チームとステークホルダーが、プロジェクトの成否を判断するための同じ基準を共有しているのかを確認します。
成果物
プロジェクトのさまざまなフェーズで必要とされる具体的なアウトプットは何かを確認します。
たとえば「Webサイトを制作するプロジェクト」であれば、Webサイトができるまでに、デザインやコードなど、どのようなアウトプットが必要かを話し合います。
除外
成果物とは逆に、プロジェクトを進めるにあたって、プロジェクトのさまざまなフェーズで必要とされる具体的なアウトプットは何かを確認します。
参考
- Antonio Nieto-Rodriguez, Harvard Business Review Project Management Handbook: How to Launch, Lead, and Sponsor Successful Projects Harvard Business Review Press, 2021.