手中の鳥の原則とは何か?エフェクチュエーションの思考様式の一つを解説

手中の鳥の原則の概要

「手中の鳥の原則」とはエフェクチュエーションの思考様式の一つで、自分が持っているスキルや知識、人脈などのリソースを活用し、それを出発点にして計画を立て、実行に移すという考え方です。

「手中の鳥」という名前は英語のことわざである"A bird in the hand is worth two in the bush"に由来します。このことわざを直訳すると「手にしている一羽の鳥は、茂みの中にいる二羽の鳥よりも価値がある」という意味になり、「手にしているものを大切にしなさい」という教えになります。

このことわざの教えのとおり、自身が所有している資源から出発し、具体的な行動を起こそうとするのが手中の鳥の原則です。

手中の鳥の原則のメリット

従来の起業は目的から出発し、その目的を達成するために何が必要かをリサーチし、必要な資源を揃えていきました。
しかしこの手法だと、綿密な市場分析が必要になり、莫大な人的・物的資源が必要になることもあります。その結果、資源に乏しい企業や人の新規参入を思いとどまらせることも少なくありませんでした。

しかし、手中の鳥の原則を使えば自身の所有している資源から出発するので、資源不足を理由に起業や新製品の投入ができないという事態が少なくなります。

手中の鳥を見つける方法

所有する資源から出発するという手中の鳥の原則は採用しやすいものの、自身の手にある鳥にはなかなか気がつかないものです。
手中の鳥を見つけるため、『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』では、下記の手法が紹介されています[1]吉田満梨、中村龍太『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』ダイアモンド社、2023年、45~46頁

  • 「私は誰か」を考える
  • 「私は何を知っているか」を考える
  • 「私は誰を知っているか」を考える
  • 余剰資源を考える

つまり、「私は誰か」を自身に問いかけることによって自分の能力や性格を再確認し、「私は何を知っているか」という問で専門的なスキルや知識、信念を確認していきます。
そして「私は誰を知っているか」という問で、頼れるつながりを確認していきます。
また、自身や自社が持っている余剰資源を把握することによっても、手中の鳥を発見することができます。

1吉田満梨、中村龍太『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』ダイアモンド社、2023年、45~46頁