飛行機のパイロットの原則とは何か?エフェクチュエーションの思考様式の一つを解説

飛行機のパイロットの原則の概要

飛行機のパイロットの原則とは、エフェクチュエーションの思考法の一つで、コントロール可能な活動に集中し、予測ではなく、コントロールによって望ましい成果に帰結させようとする考え方です[1]吉田満梨、中村龍太『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』ダイヤモンド社、2023年、142頁。

起業をする時に、当時の流行やトレンドを利用することはありますが、流行やトレンドというものはコントロールすることができない要因です。
飛行機のパイロットの原則は、流行やトレンドのようなコントロールができない要因に注力するのではなく、起業する自分自身がコントロールできる要因に集中しようというものです。

万が一の時のパイロット

「飛行機のパイロットの原則」という名前は、文字通り飛行機のパイロットに由来します。
現代の飛行機はさまざまな制御システムがあり、自動運転システムも発達しています。
しかし多くの場合、「高度な自動運転システムを搭載している」ということよりも、「パイロットが操縦する」ということのほうが信用につながります[2]サラス・サラスバシー(著)、加護野忠男(訳)、高瀬進(訳)、吉田満梨(訳)『エフェクチュエーション』碩学舎、2015年、120頁。

パイロットに求められていることは、万が一の時に対処してくれることです。
飛行機の故障や予想外の天候不良など、予想外の問題に対処できるのは、経験を積んだパイロットのみです。

「飛行機のパイロットの原則」とは、こうしたパイロットに求められる役割が起業家にも求められていることを表しています。

何が「実行可能」で、何が「実行に値する」のか

万が一のトラブルの際、飛行機のパイロットは何をするでしょうか。
パイロットにできることは、さまざまな計器の数値や視界の変化から状況を常に察知しながら、操縦かんを握って飛行機をコントロールすることです[3]前掲『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』、145頁。

これは起業家も同じで、何が「実行可能」で、何が「実行に値する」のかを判断しながら、不測の事態に対処していかなければなりません。

1吉田満梨、中村龍太『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』ダイヤモンド社、2023年、142頁。
2サラス・サラスバシー(著)、加護野忠男(訳)、高瀬進(訳)、吉田満梨(訳)『エフェクチュエーション』碩学舎、2015年、120頁。
3前掲『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』、145頁。