クラウドの実装モデルとは?クラウド構築の注意点

2022年11月14日

概要

NIST(米国国立標準技術研究所)は、クラウドを分類する観点として、「実装モデル」を定義しています。
本記事では、クラウドの実装モデルの種類、クラウド構築の注意点について詳しく解説します。

クラウドの定義

近年「クラウド」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、クラウドという言葉には明確な定義がありません。クラウドには様々な形態があり、簡単な定義が困難であることがひとつの理由です。

米国の研究機関であるNIST(米国国立標準技術研究所)でも、クラウドについて明確な定義はなされておらず、クラウドに必須となる特徴を提示するだけにとどまっています。

クラウドについては、下記の記事もご参照ください。

クラウドの実装モデルとは

クラウドの実装モデルとは、クラウドサービスの利用機会の開かれ方によって、分類したものです。

NIST(米国国立標準技術研究所)が2009年に公表した資料によると、以下の4つに分類されています。

  • プライベートクラウド
  • コミュニティクラウド
  • パブリッククラウド
  • ハイブリッドクラウド

以下で、それぞれの利用体系とサービス提供者について詳しく説明します。

プライベートクラウド

企業など同じ組織にある部門や個人で利用するクラウドです。企業や組織自体、またはクラウドの運営を委託された外部の組織がクラウドサービスを提供します。従来の社内システムのように社内で設計・管理でき、柔軟な運用が可能です。

コミュニティクラウド

団体や特定のコミュニティで構成される組織で利用するクラウドです。コミュニティの構成組織や、クラウドの運営を委託された外部組織がクラウドサービスを提供します。銀行間のデータ共有、金融サービスの連携を目的として利用されることがあります。

パブリッククラウド

一般公開されており、登録すれば誰でも利用できるクラウドです。クラウドサービスを公に提供しているクラウド事業者がクラウドサービスを提供します。AWS、Azure、GCPなどのクラウド型プラットフォームも、パブリッククラウドのひとつです。

ハイブリッドクラウド

ハイブリッドクラウドは、上記で紹介した3つのクラウドを組み合わせて利用する形態のクラウドです。

複数のベンダー、サービスを併用して構築できるため、それぞれのデメリットを補うことが可能です。

クラウド構築の注意点

以下では、クラウド構築の注意点について説明します。

実装モデルの選定

クラウドは実装モデルによって、利用できる範囲とクラウドサービスを提供する人が異なります。利用する目的や状況に合わせて、適切なクラウドサービスを選択する必要があります。

また、クラウドは提供されるサービスの範囲内で構築する必要があります。サービスを提供する事業者によっては、実現したい要件を満たせない可能性もあるため、事前に調査が必要です。

運用コスト

自社でシステムを構築する場合、自前でデータセンターを運用する必要がありました。その場合、データセンターの運用・保守費用、初期費用など高額な固定費がかかります。クラウドサービスではそれらの固定費をクラウドサービスの利用料という変動費に置き換えることができるため、コスト削減につながると言われています。

しかし、従量課金制で必要以上の料金が発生しない反面、クラウドサービスを過度なスペックで運用すると、費用が高額になる可能性があります。

セキュリティ

クラウドでは、利用者がインターネットを介してデータをやり取りします。そのため、十分なセキュリティ対策が行われていないと、不正アクセスや情報漏洩が発生するリスクが高まります。そのため、クラウドサービスを提供する事業者のセキュリティ対策レベルも確認することが重要です。

クラウドサービスを選定する際は、クラウドサービスを提供する事業者がセキュリティ基準の認証を取得しているかもポイントです。クラウドサービスに特化したセキュリティ基準には、以下のようなものがあります。

  • ISMSクラウドセキュリティ認証(ISO27001/ISO27017)
  • CSマーク
  • CSA STAR認証(CSA Security)
  • StarAudit Certification
  • FedRAMP
  • SOC2(SOC2+)

また、個人だけでなく、企業全体でルールを策定すること、管理体制を整えることも重要です。経済産業省が2021年に発表した「クラウドサービス提供における情報セキュリティ対策ガイドライン」では、クラウドサービスを提供する事業者の責任だけでなく、組織内でのセキュリティ対策についても触れられています。

参考