チッパゲドン(Chippagedon)とは何か?半導体不足が引き起こす新しい問題
半導体不足が引き起こすチッパゲドン
チッパゲドン(Chippagedon)とは、半導体チップ(Chip)とハルマゲドン(Armageddon)が組み合わされた言葉で、半導体チップの供給不足が引き起こす混乱状態を意味する言葉です。
2020年から世界的に広がった新型コロナウイルスにより、世界中のサプライチェーンが混乱する中で、とりわけ半導体の供給不足の影響が大きかったために作られた造語です。
チッパゲドンが生まれた背景
ここからはチッパゲドンという言葉が生まれた背景を詳しく追っていきましょう。
高まる半導体チップの需要
「半導体は産業のコメ」と呼ばれるように、電子機器の生産に半導体チップは不可欠な存在です。
さらにスマート家電やEV車などの登場により、これまで半導体チップをあまり使わなかった機械に多くの半導体チップが使われるようになったため、ますます半導体の需要は高まっています。
様々な国が関係している半導体チップの生産
半導体チップは様々な国が関わり合いながら作られています。
半導体チップの製造は台湾の台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のサムスン電子が有名ですが、彼らは製造のみを行うファウンドリ企業です。
「どのような半導体チップを作るのか?」を考えるファブレス企業としてはアメリカのクアルコムやブロードコム、エヌビディアが有名です。
半導体チップの素材として使われるシリコンを精製するために必要な酸化シリコンは中国やノルウェーで産出されますが、これをウェハーと呼ばれる形に加工するのは日本や韓国、台湾です。
ウェハーを用いて半導体部品にするまでにも様々な材料が必要になりますが、たとえばレアメタルはロシアで、加工のために使うレーザーに使うネオンはウクライナで産出されます。
このように、半導体チップを生産するまでには様々な国の企業が関係しています。
新型コロナの影響とウクライナ戦争
以上のように、半導体チップの需要は高まる一方で、世界中の企業が協力しながら供給しています。
しかし2020年から世界中に広まった新型コロナウイルスの影響により、それ以前のように部品の輸出入ができなくなると、半導体チップの生産も円滑に行えなくなりました。
さらに2022年にはロシアがウクライナに侵攻したため、さらに半導体チップのサプライチェーンは狂わされてしまいました。
半導体チップが不足したために電子機器の生産ができなくなったり、新商品のリリースが延期になったりする現象が世界中で起こりました。
こうした背景の中で、半導体チップ不足の影響がチッパゲドンと呼ばれるようになりました。