PMBOKのリスク報告書とは何か?リスクマネジメントで使われる用語を解説
リスク報告書の概要
PMBOKのリスク報告書とは、プロジェクトマネジメントの「リスクの特定」プロセスにおいて作成される資料です。
知識エリア「リスクマネジメント」
PMBOKでは、プロジェクトマネジメントに必要な知識を9つに分けています。
「リスクの特定」は、その中の「リスクマネジメント」エリアにあたるものです。
リスクマネジメントはその名の通り、プロジェクト進行中のリスクを管理します。
リスクを避けすぎると、時折大きな機会損失に繋がってしまいます。そのためリスクは適切に管理・調整されなければなりません。
適切な管理・調整に重要なプロセスの1つが「リスクの特定」です。
リスクの特定とは
リスクの特定とは、いわゆるリスクの洗い出し作業です。
プロジェクト全体に関わる大きなリスクのみならず、各プロセスにおける個別のリスクも洗い出し、それぞれの特性などを文書化します。
リスクの特定に関わる人員は、マネジャーやチームメンバーはもちろん、専門家、顧客、エンドユーザーなど、様々な人が関与します。
リスクの特定によって作成される文書が「リスク登録簿」そして「リスク報告書」です。
新規で作成される文書とは別に、既存のプロジェクト文書を更新することもあります。
最初のリスクの特定はプロジェクトの計画時に行いますが、プロジェクト進行中もリスクの特定は繰り返し実行されます。
プロジェクトの進行によって、様々なタイミングで新たなリスクが発生・判明するためです。
リスク報告書の特徴
リスク報告書は、全体的なリスク要因の情報や、特定された個別リスクを要約した資料です。
それぞれのリスクにどのように対応するかまで記載されています。
プロジェクト進行中になんらかの意思決定が必要なとき、リスク報告書を参照して検討することが可能です。
リスク登録簿とは
リスク報告書と同じタイミングで作成されるものに「リスク登録簿」があります。
リスク登録簿は、プロジェクトで予想されるリスクの一覧です。実際に発生したリスクではなく、「発生は確実ではないが、発生すればプロジェクトに影響を与える」といったリスクをまとめています。
リスク登録簿でまとめられる項目には、「事象」「原因」「発生する確率」「対策」「プロジェクトへの影響度」「対応の緊急度・優先度」などがあります。
予想できるリスクを、リスク報告書やリスク登録簿に事前にまとめておくことで、実際にリスクが発生した際に、より適切に対応することが可能になります。