課題ログとは何か?プロジェクトの課題を監視する文書
課題ログの概要
課題ログとは、課題についての情報が記録され監視されるプロジェクト文書のことです[1]PMBOK第6版、701頁。。
課題ログで管理する課題とは、プロジェクトのライフサイクルを通して発生する問題やギャップ、コンフリクトのことです[2]PMBOK第6版、96頁。。
課題ログはそれらの課題の管理のために用いられます。
PMBOKの手法に従えば、この課題ログは「プロジェクト作業の指揮・マネジメント」のプロセスで作成されます。
その後、課題ログは他のプロセスのインプットとして用いられるだけでなく、他のプロセスの結果によって更新されていきます。
課題ログの内容
課題ログは、主に次のようなデータを含みます[3]PMBOK第6版、96頁。。
- 課題タイプ
- 課題の提起者名
- 課題の提起日
- 優先順位
- 課題解決の担当者名
- 目標とする解決日
- 状況
- 最終解決策
これを表にまとめると以下のようになります。
課題タイプ | 提起者 | 提起日 | 優先順位 | 担当者 | 目標解決日 | 状況 | 最終解決策 |
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これらの情報を用いながら、下の参考画像のような表を作成していきます。
参考画像では、より管理がしやすくなるように、「No.」という列を用意して課題の通し番号を付けるようにしています。
課題タイプには、課題の分類を記述します。
課題タイプに記述する内容はプロジェクトによって異なりますが、例えば「情報共有」や「技術」、「予算」など、問題の種類を記述します。
優先度は「高・低」の2種類を記述するか、「高・中・低」の3種類を記述するのが一般的です。
状況には現在の状況を記述し、それを最終解決策に記述します。
課題ログの活用範囲
課題ログをはじめとする課題管理は、PMBOKの中で独立した知識エリアとして定義されていません。
そのため、プロジェクト組織管理やコミュニケーション管理、ステークホルダー管理などの複数の知識エリアで活用されます。
課題ログの必要性
課題ログによって、プロジェクト全体の課題が一元管理可能です。
一元管理することで異なる課題を横断的に分析でき、プロジェクト全体で起こっている課題の把握や、今後発生しやすい課題の分析などに活用できます。
また、ログという形で長期保存し、いつでも閲覧や分析が可能になることで、類似プロジェクトに活用できることにもなります。
課題ログによる課題管理の効果
PMBOKをベースに課題管理を理解し、課題ログを作成していくことで、効率よく課題管理を実践できるようになります。
通常、意識せず管理されることも多い課題管理ですが、プロジェクトに合った管理方法でログを作成していくことで、プロジェクト運営が改善するケースもあります。
プロジェクトで課題対応や管理に悩みを抱えているのであれば、一度、課題ログの作成や課題管理のルールを見直してみるとよいでしょう。