ティーチングとコーチングの違いとは何か?使い分けのポイントを解説

2023年2月17日

部下を育成するためには「ティーチング」と「コーチング」を上手に使い分けることが重要です。
この記事では、上司が部下の指導をする時に用いられることの多いティーチングとコーチングの定義、使い分けのポイントをお伝えします。

ティーチングとは?コーチングとは?

ティーチングとコーチングは一見すると似ていますが、相手へのアプローチのスタンスが異なります。

それぞれの特徴、違いを見ていきましょう。

ティーチングの概要

ティーチングは相手に対し教えることが特徴です。

学校生活でたとえると、各科目の先生から講義形式で受ける授業がティーチングです。
ティーチングでは、指導者が自分の教え方に沿い、答えを用意したうえで、一方向のコミュニケーションスタイルで実施されることが多いです。

ティーチングは、マンツーマンで行われることもあれば、教える側が1人で教わる側が複数人ということもあります。

コーチングの概要

『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』によると、コーチングとは「対話を通じて、クライアントが目標達成に必要なスキルや知識、考え方を備え、行動することを支援するプロセス」と定義されています[1]コーチ・エィ(著)、鈴木義幸(監修)『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』日本実業出版社、2019年。

学校生活でたとえると、担任や進路指導の先生と行う進路指導面談がコーチングです。

コーチはあくまで支援者であり、双方向のコミュニケーションや関わりを通じて、相手の課題解決を目指します。

コーチングは対話を重視するため、基本的にマンツーマンで行われることが多いです。

ティーチングとコーチングの位置づけ

以上、ティーチングとコーチングの違いについて整理しました。

ティーチングが指導を通じ相手に知識やノウハウを提供することを目的とするのに対し、コーチングは問いかけを通じ相手の中にある答えに気付いてもらうことを目的としているのが、両者の違いと言えるでしょう。

ティーチングが良い場面、コーチングが良い場面

ビジネスの現場でもティーチングやコーチングのスキルは大いに役立ちます。
ただし、使い方を間違えると部下のやる気を損ねたり、成長の機会を奪ったりしかねません。
ここからは、ティーチングが有効な場面、コーチングが有効な場面を紹介していきます。

効果の高いティーチング場面

ティーチングで効果を上げられる場面として、以下のような状況が挙げられます。

ティーチングで効果を上げられる場面
  1. 知識やスキルが不足している人を教える時
  2. 短時間で習得する事項がある時

1に関しては、新入社員や配属されて間もない社員を教育する場面をイメージするとわかりやすいでしょう。
ティーチングはあらかじめ答えが用意されているため、組織のルール、仕事の内容を基礎から教えるには最適です。

2に関しては、クレーム対応やエラー対応、災害対応などを教える場面をイメージするとわかりやすいでしょう。
ティーチングは限られた時間で必要な情報を相手に伝えることができます。
そのため、クレーム対応や災害対応など、ミスの許されない業務を短時間で教えるには、ティーチングが適しています。

効果の高いコーチング場面

次は、コーチングで効果を上げられる場面を紹介していきます。

コーチングで効果を上げられる場面
  1. 潜在的に持つ問題を引き出したい時
  2. 長期的な視点で育成に取り組む時

1については、業務に関してある程度の経験をもつ社員に、さらに成長してもらうとイメージするとわかりやすいでしょう。
たとえば、営業成績が伸び悩んでいる社員を指導する時、答えは1つではありませんし、周囲が考えている問題点が適切でないこともあります。
そのため、コーチングで対話をしながら、「どのようなことを課題に考えているか」「仕事に対して前向きになっているか」などのテーマを掘り下げ、潜在的に抱えている問題を引き出す必要があります。

2に関しては、時間をかけて幹部候補社員を育成する場面をイメージするとわかりやすいでしょう。
コーチングは1対1で行い、コーチの質問に答えていく過程で、問題点を認識していきます。そして、発見された問題点への対策を考え、コーチング後に実践し、その結果を再度コーチングの場で振り返ります。
こうしたことから、コーチングには時間が必要です。
そのため、チームマネジメントスキルや将来を見据えたキャリアプランの構築といった、すぐには身につかないことを長期的なスパンで教える際にコーチングは効果的といえます。

まとめ

今回はティーチングとコーチングの違いを整理し、効果的に使える場面を紹介してきました。
部下を育てる時のポイントは以下のようにまとめられます。

ティーチングとコーチングの使い分け
  • 業務経験が浅い、知識やスキルが未熟な人に教える→ティーチング
  • 業務経験がある程度ある、知識やスキルがある人にさらなる成長を促す→コーチング
  • 緊急かつ重要な業務に関することを教える→ティーチング
  • 長期スパンで成長を促す→コーチング

両者の概要を理解し、場面に応じて使い分けることで、より効果的な指導を目指していきましょう。

1コーチ・エィ(著)、鈴木義幸(監修)『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』日本実業出版社、2019年。