問題を解決できないリーダーの3つの要因 ―『スーパーエンジニアへの道』から学ぶ技術革新への三大障害―

2022年4月11日

なぜ問題解決ができないのか?

問題解決型リーダーとは、その名の通り組織やプロジェクトの問題を解決することができるリーダーのことです。
ただ部下やプロジェクト・メンバーのおしりを蹴り上げるだけのリーダーではなく、現代では問題解決型リーダーが求められています。
しかし、望んでいたとしても、なかなか人は問題解決型リーダーになれるわけではありません。
今回はソフトウェア開発の人類学者・ジェラルド・ワインバーグの著書『スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学』 から、問題解決型リーダーになるのを妨げる3つの要因を紹介し、問題解決を妨げている要因を解説していきます[1]G.M. ワインバーグ (著)、木村 泉 (訳)『スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学』共立出版、1991年、64~71頁。

自分自身のことが見えていない

問題解決型リーダーになるのを妨げる1つ目の要因は「自分自身のことが見えていない」ということです。
これは問題解決型リーダーのみならず、どのようなタイプのリーダーであっても自分自身に対する盲目は成長の障害になります。
「人の悪口を言うな」と日々言っている人が一番悪口を口にしていたり、「整理整頓」を掲げているリーダーの机が一番汚いなど、自分が一番できていないということはよくあります。
だいたいの場合、当の本人にはそのつもりはなく、悪口を言っていないつもりでしょうし、整理整頓をしているつもりでいるでしょう。
これが問題解決の場面になってくると、「コストの増加」という問題を解決しようとしているのに、無意識のうちに高い買い物をしてしまったり、「離職率の上昇」という問題を解決するために部下を毎日遅くまで働かせるという状況になります。

「問題ない症候群」に罹っている

問題ない症候群とは、『スーパーエンジニアへの道』の著者のワインバーグの造語で、明確に意味が定義されているわけではありません。
その内容を『スーパーエンジニアへの道』の内容からまとめると、自分の思い込みや前提知識に頼って問題を深く知ろうともせず、問題を聞くや否や「問題ない!」と答えてしまうような性質のことを指していると言えるでしょう。
私もそうでしたが、最近の子供はテストの点数が低いとゲームを禁止されたり、スマホを取り上げられたりします。
それが有効な場合もありますが、根本的な問題の解決になっているかは疑問の余地があります。
しかし、こうしたゲームの禁止やスマホの取り上げをしている親の多くは、「どうしたら子供のテストの点数を上げることができるだろう?」という問題に対し、「問題ない!ゲームを取り上げさえすれば!!」と考え、これを実施します。
これこそが典型的な「問題ない症候群」の一例です。
こうした問題ない症候群を患っているうちは、他の解決策を模索せず、信じ込んでいる解決策に固執してしまいます。

答えはたった1つだと考えている

算数や数学の文章問題を解いていて「これは算数(数学)の問題としてはこの答えになるけど、本当にそうなるのか?」という疑問を持ったことはないでしょうか?
たとえば「ある場所に鶴と亀がいる。頭の数は合計で26、足の数の合計は82であるとき、鶴は何羽いるか?」という問題をつるかめ算や連立方程式などで解くと鶴が11羽、亀が15匹いるという解答が導かれます。
しかし、これはすべての鶴の足が2本、亀の足が4つあった場合にのみなりたつ答えであり、実際には足がない鶴や亀がいるかもしれません。
こうした例外を無視したり、軽視したりすると、抱えている問題に対する解決策をあまり考えなくなってしまい、問題解決のできない人間になってしまいます。
現実世界の問題の答えは1つだけと考えず、様々な例外を想定しながら、複数の代案を考えていくことが大切です。

解決法は周囲の意見を求めること

今回は問題解決型リーダーになるのを妨げる3つの要因を紹介していきました。
いずれの要因についても、解決策は自分自身の誤りを指摘してくれる人を作ることです。
最近はやりのメンターを探すということでもありますし、上司だけでなく部下に率直な意見を求めるのもよいでしょう。
積極的に他人の意見に耳を傾け、問題解決に取り組む姿勢がIT社会の現代に求められているリーダーの姿です。

こうしたリーダーの姿として同じく『スーパーエンジニアへの道』で紹介されているMOIモデルや、アジャイル開発などで取り入れられているサーバント・リーダーシップなどがあります。
これらについては下記の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。

1G.M. ワインバーグ (著)、木村 泉 (訳)『スーパーエンジニアへの道―技術リーダーシップの人間学』共立出版、1991年、64~71頁。