Ciscoのスマートライセンスとは何か?利用方法と評価モードで利用する場合の注意点を解説
Cisco社のネットワーク機器では、ライセンス認証の方法としてスマートライセンスというものが使われています。
スマートライセンスは通常、機器に適用して使用するものですが、お試しでライセンスの機能を利用できる評価モードも用意されています。
スマートライセンスの評価モードを利用する場合、いくつか注意すべき点があります。
そこで今回は、スマートライセンスの概要と、評価モードでCisco機器を利用する際の注意点について説明します。
スマートライセンスとは
スマートライセンスは、Cisco機器に利用されている電子化されたライセンスです。2018年から導入され、現在ではほとんどのCisco機器でスマートアカウントは必須となっています。
スマートライセンスに必要なもの
スマートライセンスに対応するCisco機器を購入する場合、以下の2つを指定して注文する必要があります。
スマートアカウント
スマートアカウントとは、スマートライセンスを管理するための個人アカウントです。
スマートアカウントを使ってCisco製品のライセンスを一元管理できます。
バーチャルアカウント
バーチャルアカウントとは、ライセンスを整理するフォルダのような使い方ができるサブアカウントです。
バーチャルアカウントごとにアクセス権限を設定できます。
スマートライセンスの利用方法
スマートライセンスは「Smart Licensing」と「Smart Licensing Using Policy」の2種類の利用方法があります。
利用方法はOSのバージョンによって異なり、現在流通している機器ではSmart Licensing Using Policyの仕組みが主流です。
Smart Licensing
Smart Licensingは、Cisco機器で有効化したライセンスをポータルサイト上で認証する方法です。ポータルサイト上でのライセンスの認証状態は、機器側にも反映されます。
Smart Licensingでは、機器の利用開始時にライセンス認証を行った後も30日毎に情報を同期してライセンスの再認可を行う必要があります。
Smart Licensing Using Policy
Smart Licensing Using Policyはライセンス認証が不要で、機器の起動時からライセンスが使用できます。
スマートライセンスの認証方式
スマートライセンスの認証方式はいくつかの種類があります。
ダイレクトクラウドアクセス方式
ダイレクトクラウドアクセス方式は、機器から直接インターネット上にあるCiscoのポータルサイトに接続する方法です。認証方式の中で一番実装が容易です。
サテライトサーバ方式
サテライトサーバ方式は、オンプレミスにライセンス管理用のサーバを構築する方法です。機器は、サーバを通してライセンスの管理を行います。
ライセンス予約方式
ライセンス予約方式は、Ciscoのポータルサイト上で発行した認証コードを、機器に手動で登録する方法です。利用できる機器が限られているため、注意が必要です。
従来のライセンスとの違い
従来のCiscoライセンスは、PAKと呼ばれるキーを各機器に手動で登録する必要がありましたが、スマートライセンスでは、この手順がありません。代わりに、上記で紹介したいずれかの方法でライセンスを認証する必要があります。
また、スマートライセンスによって、使用する期限や用途を機器と紐づけされます。そのため、リプレースで回収した機器を別の用途で使用したりといったことが難しくなりました。
スマートライセンスの評価モードとは
スマートライセンスの評価モードとは、本来適用する必要があるライセンスなしでCisco機器を動作させるモードです。
評価モードを利用すると、一定期間ライセンスを機器に追加することが可能です。機器の機能を試したい時や、ライセンスの割り当てまで時間がかかる場合などであっても、機器を使えます。
スマートライセンスを評価モードで利用する場合の注意点
スマートライセンスの評価モードで注意する点について、以下で紹介します。
評価モードには有効期限がある
評価ライセンスは有効化した日から残時間がカウントダウンされます。評価モードの期間を過ぎてしまうと、利用できなくなります。そのため、有効期限の終了までに本来のスマートライセンスを適用する必要があります。また、利用しない時は機器の電源を切るなどの対策も有効です。
OSのバージョンによっては利用できない場合もある
機種によって異なりますが、IOS-XE 17.3.2 および 17.4.1 以降では、従来のスマートライセンスに代わってSmart Licensing Using Policy という新しい仕組みが登場しました。
Smart Licensing Using Policy では従来の評価モードがないため、注意が必要です。