P2Pとは何か?P2Pの種類と、導入するメリット・デメリットを解説
P2Pとは

P2Pとは、peer-to-peer(ピアツーピア)の略で、データを受信する端末と送信する端末が直接通信して、データを共有する通信技術のことです。LINE、オンラインゲーム、ブロックチェーンなどに利用されています。
クライアント・サーバー型との違い
インターネットなどのネットワーク通信は、クライアント・サーバー型が一般的に用いられます。クライアント・サーバー型は、通信にサーバーを介しますが、P2Pではサーバーを介さず、端末同士を直接接続して通信を行います。P2Pは、それぞれが対等にデータのやり取りを行う自律分散型のネットワークモデルであり、サーバーとクライアントという立場に固定されることはありません。
P2Pの種類
P2Pは通信方式によって3種類に分類されます。
以下でそれぞれについて詳しく解説します。
ピュアP2P
クライアント同士が直接接続し、データ共有を行う方式です。
各端末間をつなぐノードはメッシュ状に接続され、検索は隣接ノードを経由して行われます。規模が大きくなるほど、ネットワークの検索負荷が高くなります。
ハイブリッドP2P
従来のP2Pネットワークにサーバーを接続した通信方式です。
通信自体はクライアント同士で行いますが、データの保存や検索はサーバー側で行います。
クライアント・サーバー型ネットワークと同様、ハイブリッドP2Pはサーバー側で障害が発生すると、クライアントの検索ができなくなってしまうなど、障害に弱いのが特徴です。
スーパーノード型P2P
スーパーノード型P2Pでは、データの検索や保存は処理能力の高いノードが実行します。一般のノードは検索情報を保持しません。データ検索・保管の分散化が難しいというデメリットがあります。
P2Pのメリット
以下では、P2Pのメリットを紹介します。
通信速度が速い
P2Pでは、サーバーを経由せずクライアント同士が直接通信するため、その分短時間でデータ共有が可能です。
データを分散管理できる
サーバーを経由せず、データが個々のクライアントに分散するため、クライアント側の負荷も少なくなります。
匿名性を確保しやすい
ネットワーク上にデータが分散されるため、全てのノード情報を把握されにくく、匿名性を確保しやすい特徴があります。
サーバーコストが削減できる
サーバーが必要ないため、サーバーの構築費用、保守・運用費用が必要ありません。
障害に強い
データを分散管理できるため、ひとつの場所に大きな負荷がかかることを抑えられます。また、サーバーなしの場合、通信を行うクライアントが動作していれば、いつでも通信可能です。
P2Pのデメリット
以下では、P2Pのデメリットを紹介します。
セキュリティ面でリスクが高い
P2Pはマルウェアなどに弱く、悪意のあるプログラムに感染した場合、サーバーを経由せずにクライアント同士で感染が広がってしまう可能性があります。そのため、社内でP2Pソフトの使用を禁止している企業もあります。
ネットワーク帯域が圧迫されやすい
P2Pでは断続的にデータ通信を行うため、ネットワーク帯域が圧迫されやすくなります。結果として、P2P通信を利用するアプリケーションを起動している間、他の通信に影響を与える可能性があります。
P2Pファイル共有ソフトの危険性
P2Pファイル共有ソフトは、P2Pの技術を利用して作られたソフトです。障害に強く、匿名性が高いというメリットがある反面、ウイルス感染のリスクが高く、ソフトウェアにセキュリティホールが存在した場合、急速にP2Pネットワークを介して感染が広がるなどの危険性があります。
知らない間に犯罪に加担してしまう可能性があることが、P2Pファイル共有ソフトの危険性です。実際に、P2Pファイル共有ソフトのひとつ「Winny」では、これまでに個人情報の流出や、著作権侵害などの事件が数多く起こっています。
P2Pソフトウェアによるウイルス感染、情報漏洩は、通常のウイルスと同様にセキュリティ対策で対応できる場合がほとんどです。しかし、対策を行っていない場合は、パソコン内にソフトをインストールしているだけで、個人情報が漏れてしまう危険性もあります。
P2Pファイルソフトは利用しないのが一番ですが、どうしても使用する場合は、ポート制限や、ウイルス対策を実施してから利用することが大切です。