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ステークホルダー登録簿とは?プロジェクトの「登場人物図鑑」の作り方をやさしく解説

※本記事は、PMBOKの概念を初心者にもわかりやすく理解していただくため、表現を大幅にアップデートしました。(2026年5月更新)

プロジェクトマネジメントの教科書(PMBOK)を読んでいると、「ステークホルダー登録簿」という少し堅苦しい言葉が出てきます。

漢字ばかりで難しそうに見えますが、ゲームに例えるならこれは「プロジェクトの登場人物図鑑(あるいは人物相関図)」のようなものです。
今回は、このステークホルダー登録簿に何を書くのか、どうやって作るのか、そしてなぜこれがないとプロジェクトが失敗するのかを、やさしく解説していきます。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

ステークホルダー登録簿とは何か?

ステークホルダー登録簿とは何か?

ステークホルダー登録簿とは、「このプロジェクトにはどんな人物(組織)が関わっていて、誰が味方で、誰がどれくらいの影響力を持っているのか」をリストアップしたプロジェクト文書のことです。

プロジェクトを始めるとき、「誰に話を通せばいいのか」「誰を怒らせてはいけないのか」を把握せずに進めるのは、目隠しをしてジャングルを探検するようなものです。
後になって「そんな話は聞いていない!」と強力なステークホルダー(例えば他部署の部長など)から横槍が入り、プロジェクトが炎上するのを防ぐために、早い段階でこのリストを作成します。

登録簿には何を書くのか?(構成項目)

登録簿には何を書くのか?(構成項目)

ステークホルダー登録簿には、主に以下の3つの情報をまとめます。

1. 基本プロフィール(誰なのか?)

PMBOKでは「識別情報」と呼ばれます。その人を特定するための基本情報です。

  • 名前
  • 部署名、役職(組織内での立場)
  • プロジェクト内での役割(決裁者なのか、作業者なのか、利用者なのか)
  • 連絡先(メールアドレスなど)

2. 影響力と期待(どれくらい力があるか?何を求めているか?)

PMBOKでは「評価情報」と呼ばれます。

  • 影響度: プロジェクトを止めるほどの権力があるか?
  • 期待事項: プロジェクトに何を望んでいるか?(コスト削減、納期厳守、新機能など)

3. プロジェクトへのスタンス(味方か?敵か?)

PMBOKでは「ステークホルダー分類」と呼ばれます。

  • 現在の姿勢: このプロジェクトを支持しているか、中立か、それとも抵抗(反対)しているか。

💡 ステークホルダー登録簿の具体例

(※平成30年度春期 プロジェクトマネージャ試験の問題をベースに簡略化)

名前部門・役職プロジェクトでの役割影響度(権力)プロジェクトへのスタンス
P社社長経営陣最終意思決定者支持している
Q部長総務部プロジェクト統括支持している
S部長営業部利用部門の責任者抵抗している(不満あり)
T氏営業部利用部門の現場担当中立(関心なし)

このようにリスト化すると、「S部長は影響力が高いのにプロジェクトに抵抗しているから、優先的に説得(コミュニケーション)に行かなければマズいぞ」ということが一目でわかります。

どうやって情報を集めて作るのか?

ステークホルダー登録簿を作るための情報集め(インプット)は、どのように行えばよいでしょうか。大きく3つの切り口があります。

1. 最初の企画書や合意書を読み解く

まずは、プロジェクトの立ち上げ時に作られた「プロジェクト憲章」や「企画書」「契約書」などの資料を読み込みます。そこには「誰が承認したのか」「誰の課題を解決するプロジェクトなのか」というヒントがたくさん隠されています。

2. 周りの環境や「政治」をリサーチする

資料に載っていない人物を見つけ出すことも重要です。「このシステムが変わることで、割を食う(業務が増える)部署はないか?」「システムを使わないけれど、法律やコンプライアンスの観点から口を出してくる部門(法務部など)はないか?」と、プロジェクトを取り巻く環境を広く見渡します。

3. 過去の「失敗の記録」から学ぶ

社内の過去のプロジェクト資料(組織のプロセス資産)が残っていれば確認しましょう。「似たような過去のプロジェクトでは、○○部門の存在を見落としていて大トラブルになった」という教訓があれば、それを今回のリスト作りに活かします。

【超重要】ステークホルダー登録簿は「極秘資料」である

ステークホルダー登録簿を作る上で、絶対に忘れてはならない注意点があります。
それは、「このリストは、プロジェクトマネージャーなどのごく一部の人間だけが見られる『極秘資料』として扱う」ということです。

考えてみてください。もしこのリストが関係者全員に共有され、S部長が自分の欄に「抵抗勢力」「不満あり・要注意人物」と書かれているのを見つけたらどうなるでしょうか?
間違いなく激怒し、プロジェクトは最悪の結末を迎えます。

ステークホルダー登録簿は、プロマネが頭の中を整理し、戦略を練るための「裏の相関図」です。取り扱いには十分注意しましょう。

まとめ:作って終わりではなく「戦略」に使う

ステークホルダーを特定し、リストを作って満足してはいけません。

登録簿ができたら、次は「権力はあるが関心が低い人をどう振り向かせるか」「抵抗している人をどうやって味方につけるか」という、コミュニケーションの戦略(ステークホルダー・エンゲージメントの計画)を立てるフェーズに入ります。

リストの人物たちをさらに細かく分析したい場合は、以下の「グリッド分析」の記事もあわせて参考にしてください。

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