Promapediaでは、プロジェクトマネジメント初心者に向けて『RPGで学ぶプロマネ』という連載コンテンツを投稿しています。今回はその補論として、「もしプロジェクトマネジメントがゲームだったら?」という視点から、ゲーム開始直後の「立ち上げフェーズ」について解説していきます。
プロジェクトマネジメントというゲームにおいて、「現在のフェーズ(工程)が何か?」は非常に重要な概念です。フェーズによって、プロマネがやるべきことや目標が全く変わってくるからです。

立ち上げフェーズは、プロジェクトの企画段階にあたるものです。
真っ白だったUI画面に対して、「このプロジェクトの目的は何か?」「どんな作業が必要か?」「どれくらいの時間とお金がかかりそうか?」を調査し、ある程度の目星をつけていく作業です。
ここで達成すべき重要ミッションは以下の3点です。
- 目的の明確化
- ステークホルダーの特定
- 王様の認可(プロジェクト憲章の獲得)
これらの点をくわしく見ていきましょう。
意外とボヤっとしているプロジェクトの「目的」
立ち上げフェーズで真っ先に明確にすべきは、画面左上の「プロジェクトの目的」です。
「え!? そんなの王様(社長)の言った通りにすればいいだけでは……」と思う方もいるでしょう。しかし、「魔王討伐」という目標であっても、人によって頭に描いているイメージが全く異なる場合があります。

かたや勇者(あなた)は「魔王を打ち倒すだけでよい」と考えていても、王様たちは「魔王軍の全滅」を期待しているかもしれません。あるいは「討伐」と言っておきながら、実は「魔王の生け捕り(捕縛)」を望んでいる可能性すらあります。
プロジェクトにおいて、開始直後のこうした「認識のズレ」は、ゲーム終盤にちゃぶ台返しという致命的なトラブルを引き起こします。
「魔王討伐!」と号令をかけられたからといって、何も考えずにすぐ出発(プロジェクトをスタート)してはいけません。「具体的にどういう状態になればクリアなのか?」をヒアリングし、定義を明確にしていくことが最初の仕事です。
誰が味方で、誰が敵か?(ステークホルダーの特定)

目的を明確にするためには、「そもそも誰の意見を聞くべきか」を知らなければなりません。そこで必要になるのが、関係者(ステークホルダー)の洗い出しです。
プロジェクトの成否は、多くの場合「人間関係」に左右されます。
魔王討伐に賛成しているのは王様だけかもしれません。実は予算の鍵を握る「財務卿」は渋い顔をしているかもしれないし、武器や兵士を貸してくれる「騎士団長」や「鍛冶屋ギルド」、あるいは戦場となる「村の住人」たちは、面倒ごとに巻き込まれたくないと思っているかもしれません。
彼らが「プロジェクトに対してどれくらいの影響力を持っているのか」「どんな期待(あるいは不満)を抱いているのか」を、立ち上げの段階である程度見当をつけておきます。
この「キーマン探し」をしておかないと、いざプロジェクトが動き出してから「そんな話は聞いていない!」と、思わぬ方向から強力な魔法(クレーム)を浴びることになります。
重要アイテム!王様の認可(プロジェクト憲章)
ステークホルダーの顔ぶれを確認し、目的を定義したら、立ち上げフェーズの最終ゴールである王様の「認可」を得に向かいます。
PMBOKでは、この認可が記された書類を「プロジェクト憲章」と呼んでいます。
プロジェクト憲章には、先ほど明確にした「プロジェクトの目的」や、現段階で予想される「ざっくりとしたスケジュールや費用」がまとめられています。勇者はこの企画書をせっせとまとめ、王様や財務卿に「この条件で進めて良いですね?」と認可をもらいます。
なぜ、こんな書類が必要なのでしょうか?
多くの場合、一介の勇者(PM)であるあなたが、周囲の村人や兵士に急に協力を求めても「忙しいから」と色よい返事は返ってきません。
しかし、「この者の魔王討伐に協力するように」と、王様に一筆書いてもらったプロジェクト憲章があれば話は別です。しっかりと経営陣の承認を得た企画書や、全社に向けた社長からの協力要請メールなど、プロジェクトに権威付けをして、周囲を巻き込むための「大義名分」を得なければならないのです。
「ひかえい! この文書が目に入らぬか!」という風にプロジェクト憲章を取り出し、関係者をひれ伏せ……とまでは言わずとも、スムーズに協力を引き出せるような最強のアイテムが完成すれば、立ち上げフェーズは無事クリアとなります。


