トリプル・ボトムラインとは何か?サスティナビリティ(持続可能性)が求められる時代の評価手法

2022年4月19日

トリプル・ボトムラインの概要

トリプル・ボトムライン(Triple bottom line)とは、企業の環境的側面、社会的側面、経済的側面の3つの側面を結びつけて評価を行う手法のことです。1994年に起業家で作家のジョン・エルキントンが提唱し、3つの要素として「人」「地球」「利益」を掲げ企業のCSRを促進する国際的なガイドライン「GRIガイドライン」にも反映されています。
トリプル・ボトムラインは地球温暖化をはじめとする環境危機が現実になりつつあることから近年注目を集めており、サスティナビリティ(持続可能性)が今後のテーマとなることから、トリプル・ボトムラインを取り入れた利益と社会貢献の両立が重要視されています。

トリプル・ボトムラインへの取り組み

トリプル・ボトムラインを重要視する企業は、利益を追及するだけではなく、環境の持続性や働き手の権利にも注目しています。基礎となる「人」「地球」「利益」に関する検討や改善方法は以下の通りです。

サプライチェーンを通じた従業員の公正な労働環境や、企業が地域社会の人々に与える影響を重視します。

従業員

柔軟な勤務形態や手厚い福利厚生を提供することで、従業員を重要視していることを示します。

地域社会

地域活動への寄付や、従業員による有給ボランティアの機会を提供することで、地域社会への貢献を示します。

社会正義

職場の方針や取り組みを通して、社会正義の話題を定期的に取り上げることで従業員への意識を高めていきます。

地球

企業の環境的側面にあたり、リサイクル活動や汚染の軽減、再生可能なエネルギーの活用といった、サスティナビリティ(持続可能性)に向けた企業の取り組みを示します。
生産工程にて汚染を抑える取り組みを行うことで職場環境の安全性も高めることや、環境的側面に則した取り組みは、生産工程に携わる従業員にもプラスの影響をもたらすことができます。

利益

企業の経済的側面のボトムラインとなり、企業の利益や損益を示します。トリプル・ボトムラインに基づき、企業が上げる利益を測定するだけでなく、企業が地域社会や環境に与える経済的影響を測定するものでもあります。社会や環境に対する意識を高めることで、汚染の低減や再生可能なエネルギー使用に対する政府からの助成金や補助金を受けることもできます。

トリプル・ボトムラインの測定

経済的側面に関しては、企業の利益として数値化を行うのは容易ですが、人や環境面の利益を数値化するのは困難な場合もあります。そこで、企業によってはトリプル・ボトムラインの取り組みによる成果を定量化するためにサスティナビリティ指標を作成し、利用可能な指標として活用しています。GRI(Global Reporting Initiative)は、環境と社会の改善に向けた取り組みを示すために、企業が従うべき基準や報告書を提供し、標準的なプロセスに則り企業間の比較を行うことも可能です。

参考