テーラリングとは何か?PMBOKを読み解く上で大切なキーワードを解説

2021年3月8日

テーラリングの概要

テーラリングのキャッチ画像

テーラリング(tailoring)とは、直訳すれば「仕立て」という意味になります。
「洋服の仕立て直し」などに使われる言葉ですが、プロジェクトマネジメントにおいては、「プロジェクトをマネジメントするために、プロセス、インプット、ツール、技法、アウトプット、およびライフサイクル・フェーズの適切な組み合わせを決めること」を意味します[1]PMBOK第6版、721頁。

プロジェクトマネジメントのガイドラインであるPMBOKでは、プロジェクトを成功に導くために、プロジェクトをプロセスに分け、そのプロセスを進めるために用いることができる情報や資料というインプット、そのインプットを加工するためのツールや技法、そしてそこから生み出されるアウトプットを紹介しています。
プロジェクト・マネジャーはこれらのPMBOKの知識を鵜呑みにしてプロジェクトに採り入れるのではなく、プロジェクトにあわせて適切に調整していくことが大切です。
この作業をテーラーが顧客の体にあわせて洋服を仕立てるのに見立てて、テーラリングと呼びます。

ソフトウェア開発プロジェクトのテーラリング

より具体的にソフトウェア開発プロジェクトにおけるテーラリングを見ていきましょう。

ソフトウェア開発のプロジェクトマネジメントは、組織の中で標準の開発プロセスを定義することが望まれます。
「立ち上げプロセスでは何をするのか?」、「計画プロセスではどのような資料を作成していくのか?」というプロジェクトの進め方を、組織として用意しておくことは大切です。
しかし、その適用については、組織の標準の開発プロセスを単に採り入れるのではなく、開発プロジェクト毎に内容を調整すべきです。
大規模な新規開発、既存のアプリケーションに対するマイナーバージョンアップ、また、不具合対策のための緊急リリースなど、一口に「ソフトウェア開発プロジェクト」と言っても、いろいろな開発プロジェクトがあります。
それらすべての開発案件に対して、標準の開発プロセスをそのまま適用してしまうと問題が生じることがあります。
例えば、そのプロジェクトに不要な資料を作成して要らぬ負担がかさんだり、逆にそのプロジェクトにだけ必要な調査をしなかったが故に、プロジェクトに混乱をもたらしたりしてしまうことがあります。
そのため、プロジェクトを開始するときに、どのようにプロジェクトを進めていくのかを、組織の標準の開発プロセスと照らし合わせながら、決定することが大切です。
このように開発プロセスを柔軟に変更することがテーラリングです。

1PMBOK第6版、721頁。