マインドマップとは何か?いまさら聞けないマインドマップの作り方を解説
整理できない思考をすっきり解決する、マインドマップ
マインドマップとは、用紙の中央にテーマを書き、そこから連想されるキーワードを書き足していくことによって情報を整理したり新たなアイデアを生み出したりする手法のことです。
マインドマップはイギリスの著述家・教育コンサルタントであるトニー・ブザン(Anthony Peter “Tony" Buzan)が考案しました。マインドマップは1970年代にイギリスの公共放送BBCが「マインドマップで子供の学習効果が上がった」という内容を放送したことをきっかけに注目を集め、全世界へ広がっていきました。
トニーは様々な記憶術の著作を残しており、もともとマインドマップも記憶などのインプットのために開発された手法でした。しかし今日では様々な場で使われる中で、アイデアや発想を生むためのアウトプットとしても使用されることもあります。
どのような場面でマインドマップを使うか
マインドマップが有効な場面
「頭の中の思考がまとまらない」
「複雑な情報を整理できない」
このようなとき、マインドマップを書いてみましょう。
マインドマップでは、頭の中で整理できない煩雑な情報を用紙に書き出していくことによって、思考を「見える化」できます。
そして、「見える化」した情報を俯瞰すると、
「〇〇と●●にはこういう関係があったのか」
「△△を変えてみたらどうなるか」
「□□と■■を組み合わせたらどうか」
など、情報が整理できたり新たな発想が得られたりします。
マインドマップが使えない場面
マインドマップが有効でない場面も、あらかじめ見ておきましょう。
すでに整理されている情報や要点が明確化しているテーマに対しては、マインドマップは必ずしも効果を発揮しません。
わざわざマインドマップを使わなくとも、思考の見える化をしなくとも、内容が明らかであるからです。
ただし、マインドマップは、もともとインプットの技術です。
そのため、整理された情報であっても、資格試験の勉強などの記憶を定着させる目的に使う場合には有効です。
マインドマップのメリットは何か
マインドマップには、以下のとおり多くのメリットがあります。
- 思いついたまま書くだけなので、すぐに作成を始められる
- 一枚の用紙を見るだけで、情報全体を俯瞰できる
- 情報の繋がりを意識して眺められる
- 視覚に訴えることができるため、自分の思考を他人に理解させやすい
- 後から書き加えることが簡単である
このように、マインドマップのメリットは手軽さにあると言えるかもしれません。
マインドマップの書き方
マインドマップで用意するもの
マインドマップで必要なものは多くはありません。
- 用紙(ノートも可、無地、A4以上)
- ペン(カラー5色~10色あればなお良し)
マインドマップで必要なのは上記の2つだけです。
用紙は、邪魔にならない程度に大きなサイズを選びましょう。
また、ペンは、いろいろな色を使うことによって情報が視覚的に理解しやすくなるので、最低5色は用意することをおすすめします。
書き方の手順
用紙の中央にテーマとなるキーワードを書く
マインドマップでは、用紙の中央から左右ヘキーワードを書き足していくので、必ず横向きで始めます。
用紙の中央にはテーマとなるキーワードを記述します。
企業であれば、「新製品の開発」「売上高アップ」、自分のことであれば、「今年の私の目標」「健康」などです。
テーマの近くに関連するイメージ(絵)を描き加える
テーマに関連するイメージのことを、「セントラル・イメージ」と言います。
セントラル・イメージの大きさはA4用紙の場合、縦横5cm程度が望ましいです。
カラフルなイメージを見るとインスピレーションが刺激され、思考が促されるため、セントラル・イメージは3色以上を使って、カラフルに描いていきましょう 。
「セントラル・イメージ」から放射状にメイン・ブランチを伸ばす
次に、セントラル・イメージから情報の枝を加えていきます。
セントラル・イメージから伸びる枝のことを、「メイン・ブランチ」と言います。
このメイン・ブランチの上に、セントラル・イメージに関連するキーワードを書いていきましょう。
ただし、メイン・ブランチを描く際、後から描き足すことができるように枝同士の間隔に気を付ける必要があります。
メイン・ブランチからサブ・ブランチを伸ばす
メイン・ブランチが描けたら、ここからさらに枝を伸ばしていきます。メイン・ブランチから伸びる枝のことを「サブ・ブランチ」と言います。
サブ・ブランチから思いつく限り枝を伸ばす
サブ・ブランチを描いた後も、情報をどんどん細分化して、枝を増やしていきます。
この際も、強調したいキーワードや重要なキーワードの上に適宜イメージを描き加えることによって、マインドマップが生き生きとして、新たな発想が浮かびやすくなります。
それぞれのキーワードが関係する場合は、矢印線などを引いておくことによって、キーワードの組み合わせが視覚的に理解でき、新たな発想を得られることがあります。
このような作業を続けていくことによってマインドマップはどんどん充実していきます。明確に終わりというものはありませんので、筆が止まるまで、この作業を続けてみるとよいでしょう。
マインドマップの書き方のコツ・注意点
「メイン・ブランチ」を増やしすぎない
メイン・ブランチは、最大でも7つ程度に抑える必要があります。
なぜなら、メイン・ブランチを増やしすぎると、キーワード同士の関係性が視覚的に分かりづらくなるからです。
メイン・ブランチが多くなる場合は、それぞれの関係性を見極め、関連するキーワード同士を新たに「メイン・ブランチ」としてまとめ直しましょう。
中央から末端にかけて細くなるように枝を描く
中央を太く末端を細く描くと、セントラル・イメージから末端に向かうにつれて情報が細分化されていく様子が、視覚的に理解しやすくなります。
キーワードを線で囲ったり番号を付けたりする
キーワードを書き込みすぎて固まりが分かりにくくなった場合、固まりごとに線で囲ってみると、視覚的に理解しやすくなります。
また、メイン・ブランチ同士の優先度を示したい場合、それぞれのメイン・ブランチに優先順位が分かる番号を振ってみると分かりやすいです。
箇条書きではいけないのか
マインドマップは頭にある事柄や整理されていない情報をまとめていく作業です。
こうした情報を書き出していく情報整理法は、なにもマインドマップだけではありません。
例えばシンプルな箇条書きも、キーワードを書き出して整理する手法です。
しかし、箇条書きには「視覚的に情報の関連性を理解しづらい」という欠点があります。
逆に言えば、マインドマップの特徴は情報の関連性の理解しやすさと言えるのかもしれません。
マインドマップとブレインストーミングとの関係
ブレインストーミングとは、会議に参加した人たちが自由な発想で意見を出し合い、新しいアイデアを生み出すための手法です。
しかし、出てきた大量の情報を整理できなければ、新たなアイデアは生み出せません。
一方、マインドマップは、煩雑な情報を分かりやすく整理できます。
そのため、ブレインストーミングで出てきた多様な意見を整理するのに役立ちます。
ブレインストーミングで出てきた意見は、マインドマップで整理していくと良いでしょう。
マインドマップのまとめ
マインドマップの強みは、何といってもすぐに書き始められることです。
手軽に始めることができるので、頭の中でモヤモヤを抱えている人は、すぐにマインドマップを書いてみることをおすすめします。
煩雑な情報が整理され、そこから新たな発想を得ることができるでしょう。
参考
Webページ
書籍
- 中野禎二『マインドマップ図解術』秀和システム、2005年。
- 片岡俊行『マインドマップ練習帳』秀和システム、2006年。
- トニー・ブザン『マインドマップ超入門』ディスカヴァー・トゥエンティワン、2008年。
- 矢島美由希『ふだん使いのマインドマップ』CCCメディアハウス、2012年。