長く練習しているのに成果がでない時は「エキスパートの練習法」を試してみよう

2023年12月6日

今回は『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、エキスパートの練習法を紹介していきます[1]キャロライン・アダムス・ミラー(著)、宇野カオリ(監修)、藤原弘美(訳)『やり抜く力 … Continue reading

意図しない練習では上達しない

「誰でも1万時間練習すれば、その道のエキスパートになれる」という「1万時間の法則」なるものがあります。
この俗説は、何かのエキスパートになるまでの道のりをわかりやすく示すものとして、世界で広まりました。

しかし、単に1万時間を費やしただけで、人はエキスパートになれるわけではありません。
たとえば、趣味がジョギングで、毎日ジョギングを10年欠かさず続けていたとしても、トップアスリートのような速度で走れるようになるわけではありません。

その道のエキスパートになるには、単に練習に時間を使うのではなく、上達のために意図的な練習が必要です。

エキスパートの練習法の3つの流れ

では、意図的な練習とは、どのような練習なのでしょうか?
『GRIT』では意図した練習である、エキスパートの練習法の流れとして、以下の3点が紹介されています[2]『GRIT』171頁。

  • ある一点に的を絞って、ストレッチ目標(高めの目標)を設定する。
  • しっかりと集中して、努力を惜しまずに、ストレッチ目標の達成を目指す。
  • 改善すべき点がわかったあとは、うまくできるまで何度でも繰り返し練習する。

つまり、少し高めの目標設定をして、その目標に対して練習し、うまくできるまで繰り返し練習していくことが、効果の上がるエキスパートの練習法ということです。

意図的な練習は1日3~5時間が限度

『GRIT』では、意図的な練習は1日3~5時間が限度だと書かれています[3]『GRIT』180頁。

意図的な練習は、意図的でない練習に比べて、目標も高く、過酷です。そのため、意図的な練習を続けて行うのは1時間を目途にし、その後は休憩をとるとよいでしょう。
意図的に1時間練習し、その後休憩をとり、練習を再開するというサイクルを繰り返し、1日3~5時間を目安に続けていきます。

フロー状態

『GRIT』では、意図的な練習を助けるものとして「フロー状態」を挙げています。

フローとは心理学者のM.チクセントミハイ(Mihaly Csikszentmihalyi)が提唱した概念で、「物事に熱中し、時間や周囲をも忘れて行動している状態」のことを指します。

この状態になれば、負荷の高い練習であっても、没頭して取り組むことができます。

フロー状態については、下記の記事もご参照ください。

1キャロライン・アダムス・ミラー(著)、宇野カオリ(監修)、藤原弘美(訳)『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』すばる舎、2016年。以下『GRIT』と略記。
2『GRIT』171頁。
3『GRIT』180頁。