スコープベースラインとは何か?PMBOKの用語を解説

2021年10月4日

スコープベースラインの概要

スコープベースラインとは、主にPMBOKにおいて、プロジェクトの作業範囲の基準となるものです。

ベースラインとは

そもそもベースラインとは、プロジェクト実行中に比較するための基準を指します。
たとえばプロジェクトの進行中、ベースラインと実際の成果物の値を比較することで、プロジェクトが予定通りである・予定より順調である・予定より難航しているなど、客観的な判断を下すことができます。
特にスコープベースラインは、PMBOKの定義では「作業プロダクトの承認済み版」とも言われます。

スコープとは

スコープとは英語で「範囲」「視野」という意味を持ちます。
IT業界では主に「プロジェクトの範囲」を定義したものがスコープと呼ばれます。このプロジェクトの範囲には、「開発するシステムの内容」や「プロジェクトの作業内容」などが含まれます。

すなわちスコープベースラインとは、プロジェクト実行中に比較するための「プロジェクト範囲の基準」ということです。
スコープベースラインは、「プロジェクトスコープ記述書」や「WBS」「WBS辞書」の作成に使用されます。

プロジェクトスコープ記述書とは

プロジェクトスコープ記述書は、プロジェクトの計画時に作成されます。
プロジェクトの作業範囲・成果物などのスコープを詳細に記した文書です。

PMBOKの定義では、プロジェクトのスコープ、主要な成果物と、さらに前提条件、制約条件まで記述したものとされます。
「前提条件」とはプロジェクトの成功に必要な条件を指し、「制約条件」とはチームの行動を規制するような条件を指します。たとえば確実に動員されるメンバーの人数は前提条件にあたり、スケジュールや予算などは制約条件に該当します。

プロジェクトのゴールを明確にすること、それをチームで共有することがプロジェクトスコープ記述書の主な目的です。

WBSとは

WBSは「ワーク・ブレークダウン・ストラクチャー」の略で、プロジェクトの作業を管理する手法です。
WBSでは、プロジェクトの作業を細かい段階に分割し、階層構造として管理します。

WBSの流れ

WBSではまず最初に、必要な作業をすべて洗い出します。
続いて洗い出した作業を細かな要素に細分化します。この細分化された要素は「ワークパッケージ」とも呼ばれます。
そして細分化した後、各ワークパッケージに必要なコストや人数配分を割り出します。

このWBSの全要素についてまとめられているドキュメント群が「WBS辞書」です。
WBS辞書には、ワークパッケージのリソースやスケジュール、責任者、先行するワークパッケージ、後続のワークパッケージなどが記載されています。