テストとデバッグの違いは何か?ソフトウェア開発で使われる用語の違いを解説

2021年7月9日

混同されるテストとデバッグ

ソフトウェア開発をしていると「テスト」や「デバッグ」という言葉を耳にします。
共に開発中のソフトウェアにバグがないかどうかを確認する作業を指しており、区別なく使われている場合もあります。
両者の違いはデバッグがソフトウェアのバグやエラーの発見から修正までの一連の工程を指しているのに対し、テストはその工程の一部を指しているということです。
今回はこのテストとデバッグの違いについて解説します。

ソフトウェアのデバッグの工程

ソフトウェアのデバッグは以下のような工程で進められます[1]ジェラルド・M・ワインバーグ(著)、伊豆原弓(翻訳)『パーフェクトソフトウエア』日経BP、2010年、36~37頁。

  1. バグ・エラーの発見
  2. 絞り込み
  3. 特定
  4. 重要度の決定
  5. 修正

デバッグでは、開発中のソフトウェアを実際に操作してみて、バグやエラーがないかを発見していきます。
その中で何らかのバグやエラーが発見されたら、再度その現象が発生した手順を繰り返して再現されるかを確認し、類似する操作を行いながら、状況の絞り込みを行い、問題の特定をしていきます。
バグやエラーが特定出来た後は、その重要度を決定し、修正するのかしないのか、修正するのであればどの程度の優先度で対応していくのかを決めます。その後、そのバグやエラーを修正します。
このバグやエラーの発見からそれらを修正するまでの一連のプロセスをデバッグと呼び、「バグ・エラーの発見」、「絞り込み」と「特定」のプロセスをテストと呼びます。

あいまいな「テスト」の意味

以上のように、デバッグはバグやエラーの発見から修正までの一連のプロセスを、テストはその一部のプロセスを指しています。
デバッグとテストを区別せずに使われることも多いですが、同じようにテストという言葉もあいまいに使われがちです。
たとえばテストを行う「テスター」という役割は「バグ・エラーの発見」までを行うのか、それとも「絞り込み」と「特定」まで行うのか、それとも「重要度の決定」や「修正」までを行うのかは、組織や人の認識によって異なってきます。
ソフトウェア開発をする上で頻繁に耳にする「テスト」という言葉ですが、「デバッグ」との違いを含め、その開発プロジェクトではどのようなことを意味するのか、メンバーで認識を合わせておいた方がトラブルが少なくなるでしょう。

1ジェラルド・M・ワインバーグ(著)、伊豆原弓(翻訳)『パーフェクトソフトウエア』日経BP、2010年、36~37頁。