プロジェクトにはどのような人たちが関係しているか?プロジェクトに関わるステークホルダーを見つけていく【プロジェクトマネジメントの基礎】
プロジェクトにはさまざまな人物が、色々な役割で関わってきます。今回の記事ではプロジェクトに関わる人物を紹介していきます。
どのような人たちが関係しているか?
プロジェクトが本格的に始まったら、真っ先にやるべきことはプロジェクトに関係する人を見つけることです。
プロジェクトで作ろうとしている製品を待っている人にどのような機能がほしいのかを聞いたり、最終的に「この製品で売りに出そう」と判断する決裁者を確認したりしなければ、プロジェクトは円滑に進んでくれません。
このようにプロジェクトに関係する人を「ステークホルダー」と呼びます。
例:市の公園建設プロジェクトのステークホルダー
ステークホルダーの範囲はかなり広く、プロジェクトに影響を受ける人はステークホルダーと呼ばれます。
たとえば、ある市で公園を建設するプロジェクトがあったとしましょう。このプロジェクトは市民からの要望を受け、市長が市役所で働くAさんに建設をするように指示しました。
このプロジェクトはAさんだけで進められるプロジェクトではありません。建築するときには土木課、衛生的な観点から問題がないかを調べる衛生課など、さまざまな課の協力が必要です。関係している課から担当者を出してもらい、彼らと協力しながらプロジェクトを進めていきます。
各課の担当者は本来の業務に加えて、公園建設プロジェクトに参加することになるため、彼らの上司にも適宜状況を報告しなければ、業務の管理ができなくなってしまいます。
また、市役所で働く人が自分たちで公園を作るわけではないので、建設会社を選び、依頼しなければなりません。
市に公園がほしいと要望を出した市民の声も再度聞く必要がありますし、公園の建設予定地の周りの人たちに事情を説明しなければなりません。
このように、公園建設プロジェクトを例にしてみても、プロジェクトにはさまざまな関係者がいることがわかります。これらの関係者をひっくるめてステークホルダーと呼びます。
ステークホルダーの種類
さまざまなステークホルダーがいることはわかったかと思いますが、このままではあまりに雑然としていて、プロジェクト進行の助けになりそうもありません。
ここからはステークホルダーを整理していきましょう。
直接的ステークホルダーと間接的ステークホルダー
ステークホルダーは直接的ステークホルダーと間接的ステークホルダーの2つに分けられます。その名のとおり、直接的ステークホルダーはプロジェクトに直接的に影響を与える関係者を指します。
先ほどの公園建設プロジェクトで言えば、市長やAさん、各課の担当者が直接的ステークホルダーに分類されます。
他方、担当者の上司や公園の周囲に住む人たちは直接的にプロジェクトに影響を与えることはありません。このようなステークホルダーは間接的ステークホルダーと呼ばれます。
直接的ステークホルダーも間接的ステークホルダーも、ともに大切なステークホルダーですが、プロジェクトではまず直接的ステークホルダーに注目していきます。
ステークホルダーの変化に注意
注意しなければならないのは、ステークホルダーの直接的か間接的かの区別は一定ではなく、変化する可能性があることです。
たとえば、先ほどの公園建設プロジェクトにおいて、建設予定地周辺の住人は直接的にはプロジェクトに影響を与えないように見えます。しかし、彼らが公園の建設に反対し始めれば、プロジェクトの進行に大きな影響を与えるため、プロジェクト・マネジャーは定期的に彼らに状況を報告し、公園建設の同意を得なければなりません。
このように、ステークホルダーの関わり方はプロジェクトの期間を通じて一定というわけではないため、定期的にステークホルダーを見直していくことも大切です。
プロジェクトのチーム体制はどうなっているか?
プロジェクト・メンバーは誰か?
プロジェクトのステークホルダーを洗い出せたら、次はプロジェクト・メンバーを確認していきます。
プロジェクト・メンバーには、プロジェクトで取り組む各課題をこなす作業者もいれば、プロジェクトの企画者や出資者など、プロジェクトの承認を行う人もいます。
このようなプロジェクト・メンバーを整理し、プロジェクトのチーム体制図を作り、共有しておくとよいでしょう。
プロジェクト・メンバーの役割は何か?
プロジェクト・メンバーを整理できたら、彼らの役割も明確にしておきます。
この時に役立つのがRACIチャートです。
RACIチャートとは、プロジェクトのチームメンバーの役割と責任を明らかにするために使用される手法です。プロジェクト・メンバーの役割を“Responsible(実行責任)”、“Accountable(説明責任)”、“Consult(相談対応)”、“Inform(情報提供)”に分け、アクティビティや成果物に対しての役割を図示していきます。
もしRACIチャートのようにプロジェクトでの役割を明示する資料がなければどうなるでしょうか?たとえば「来月に開発をお願いしてもいいですか?」と口約束で社内のプログラマーに依頼し、了承を得ていても、「ごめん、忙しくなって対応できなくなった」といわれてしまうことがあります。
こうしたトラブルを抑止するためにも、RACIチャートを作成し、人員の確保の合意を取り付けておく必要があります。
さいごに
プロジェクトにはさまざまなステークホルダーが関与します。このステークホルダーを洗い出し、整理することがプロジェクトの最初の課題です。
ステークホルダーが整理できたら、次は彼らの要求を聞き、プロジェクトで何を実現しなければならないのかを考えていきます。