【PMBOK第7版から学ぶ】パフォーマンスを高めるチームの文化に必要なこと ―7つの模範的な振る舞い―
チームの文化がパフォーマンスを左右する
チームのパフォーマンスを左右する要因に、チームが形成する文化が挙げられます。
たとえば、チーム・メンバーが互いを助け合いながら働くチームと、他のメンバーが何をしているのかに無関心であるチームとでは、パフォーマンスに雲泥の差が生まれるのは想像に難くありません。
チーム・メンバーが安心して働くことができ、メンバー同士が互いを尊重し、公平でオープンな関係を築く文化が醸成されるよう、プロジェクト・マネジャーは気を配らなければなりません。
ではそのような文化を形成するにはどうすればよいのでしょうか。
そのヒントをPMBOK第7版から学んでいきましょう。
模範として示すべき7つの振る舞い
PMBOK第7版ではチームのパフォーマンスを高めるような文化を実現するために、プロジェクト・マネジャーが模範として示すべき、望ましい振る舞いとして以下の7つを挙げています[1]PMBOK第7版、20~21頁。。
- 透明性
- 誠実さ
- 尊重
- 肯定的な会話
- 支援
- 勇気
- 成功の祝福
これらの振る舞いこそ、優れた文化を形成する要因と言えるでしょう。
ここからはこれら7つの振る舞いの内容を詳しく見ていきます。
透明性
「透明性」とは、いわゆる「見える化」の度合いのことです。
「チーム・メンバーがどのような課題に取り組んでいるのか」「何か問題を抱えていないか」というような情報が共有されているような透明性の高いチームは、そのパフォーマンスを高めることができます。
誠実さ
「誠実さ」とは倫理的な振る舞いと正直さを意味します。
たとえばプロジェクトの情報を競合他社に漏らすというようなことはもちろん、ステークホルダーに不利益を与えることがわかっていながら、黙っているような振る舞いも避けなければなりません。
倫理的にプロジェクトに取り組み、何か問題があれば直ちに報告するような誠実さをチーム・メンバーが持てるようにすることが大切です。
尊重
チーム・メンバーが互いを尊重するということは、働く上で大切な文化です。
たとえばソフトウェア開発の現場では「あいつらはプログラミングできないクセに!」「大した感性もないのにデザインに口を出すな!」というような文句を耳にすることがあります。
しかし、自身に専門知識があるからといって、他者への敬意を忘れるようなことがあってはなりません。
チーム・メンバーが互いを尊重できるように、プロジェクト・マネージャーが率先して模範を示すことが大切です。
肯定的な会話
先ほどの「尊重」に似ていますが、肯定的な会話を心がけることも重要です。
メンバー同士の会話で、意見の異なる点が出てきたとしても、一方をやりこめることだけを考えるのではなく、掲げたプロジェクトの目標に向かって、よりよい状態になるよう、対話をしていく必要があります。
支援
プロジェクトには様々な困難が待ち構えているのが常です。
そうした中で、メンバー個人が困難を抱えてしまっては、チームのパフォーマンスを高めることはできません。
メンバー同士が支え合う文化を創り出すことが肝要です。
勇気
プロジェクトでは「新しい開発アプローチの採用」「上司・先輩への提言」「プロジェクトの中止」など、勇気が試される場面が多々あります。
こうした勇気を持てずにいると、前例主義に陥りがちになり、状況の判断が遅れることもあります。
そのため、勇気を持って挑戦したり、その勇気を認めたりする文化の醸成が必要です。
成功の祝福
自身の成功や功績を祝福されたり、表彰されたりすることは、チーム・メンバーの最大のモチベーションアップになります。
成功を祝福する文化が根付けば、自然とモチベーションを高められるチームになります。
それだけでなく、成功を祝福するということは、祝福されるべき模範が何かをメンバーに示すことができます。
Googleの事例
今回はチームのパフォーマンスを高める文化について考えていきましたが、実際の企業ではどのような文化を形成しているのでしょうか。
たとえばGoogleでは謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)の3つの要素を重視しています。このように、表現は違えど、PMBOK第7版で取り上げられた7つの振る舞いに似た性質を、Googleも文化として形成しようとしています。
Googleのチームのあり方については、下記の記事もご参照ください。
注
↑1 | PMBOK第7版、20~21頁。 |
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