情報処理技術者試験で出題されるITILの内容まとめ

2021年8月10日

基本情報技術者試験や応用情報技術者試験などの情報処理技術者試験では、ITILに関する問題が出題されます。
今回は情報処理技術者試験で出題されるITILの情報についてまとめました。

ITILとは

ITILとはInformation Technology Infrastructure Libraryの略で、1989年にイギリスの中央コンピュータ電気通信局によって作成・公表されたITサービスマネジメントにおけるベストプラクティスをまとめたものです。

ITILのバージョンと情報処理技術者試験への出題

1989年にまとめられたITILはこれまで2001年にITILv2が改訂版としてリリースされ、2007年にITILv3が、2011年にITIL 2011 editionが発表されました。
ただ、情報処理技術者試験で各バージョンの違いを問われることはなく、ITIL 2011 editionの内容だけを押さえておけばよいでしょう。

ITIL 2011 editionのサービスライフサイクル

ITIL 2011 editionでは、ITサービスの主要な活動を以下の5つの段階にまとめています。

段階説明
サービスストラテジITサービス及びITサービスマネジメントに対する全体的な戦略を確立する。
サービスデザイン事業要件を取り入れ、事業が求める品質、信頼性及び柔軟性に応えるサービスと、それを支えるプラクティス及び管理ツールを作り出す。
サービストランジションサービス及びサービス変更を運用に利用できるようにするために、前の段階の成果を受け取り、事業のニーズを満たすかどうかをテストし、本番環境に展開する。
サービスオペレーション顧客とサービス提供者にとっての価値を確保できるように、ITサービスを効果的かつ効率的に提供し、サポートする。
継続的サービス改善ITサービスマネジメントプロセスとITサービスに対する改善の管理を責務とし、効率性、有効性及び費用対効果を向上させるために、サービス提供者のパフォーマンスを継続的に測定して、プロセス、ITサービス、インフラストラクチャに改善を加える。

ITサービスマネジメントの各プロセス

ITサービスマネジメントとは

ITサービスマネジメントとは顧客の要求事項を満たす高品質のITサービスの開発や提供を行うために、必要な業務プロセスを構築して運用・管理することです。

各プロセスの概要

プロセス説明
問題管理プロセスシステムの稼働状況などの情報からインシデントの原因を求め、同様のインシデントが今後発生しないようにするため、根本原因の特定の活動に取り組む。
サービスレベル管理プロセス提供するITサービス及びサービス目標を特定し、サービス提供者が顧客との間で合意文書を交わす。
財務管理プロセスITサービスの提供に必要な予算に対して、適切な資金を確保する。
キャパシティ管理プロセス現在の資源の調整と最適化及び将来の資源要件に関する予測を記載した計画を作成する。
ITサービス継続性管理プロセス災害や障害などで事業が中断しても、要求されたサービス機能を合意された期間内に確実に復旧できるように、事業影響度の評価や復旧優先順位を明確にする。

サービスデスク組織の種類

サービスデスクとは

サービスデスクとはシステムの利用者からの質問やクレームなどの問い合わせを受け付け、それらの問い合わせの内容の記録や管理、問い合わせへの回答などを行うために設けられた窓口のことです。
ITILでは以下のように、サービスデスク組織の構造を4つの種類に分類しています。

サービスデスク組織の種類

構造説明
ローカルサービスデスクサービスデスクを利用者の近くに配置することによって、言語や文化の異なる利用者への対応、専門要員によるVIP対応などができる。
中央サービスデスクサービスデスクを1拠点または少数の場所に集中することによって、サービス要員を効率的に配置したり、大量のコールに対応したりすることができる。
バーチャルサービスデスクサービス要員が複数の地域や部門に分散していても、通信技術を利用することによって、単一のサービスデスクがあるようにサービスを提供することができる。
フォロー・ザ・サン時差がある分散拠点にサービスデスクを配置し、各サービスデスクが連携してサービスを提供することによって、24時間対応のサービスが提供できる。