バンチボール(Bunchball)とはどのような会社なのか?バンチボールから見るゲーミフィケーション(Gamificaction)事業の成功の秘訣

2018年9月16日

老舗(?)ゲーミフィケーション・プロットフォームベンダー

ゲーミフィケーションの入門書である『GAMIFY』ではゲーミフィケーション・プラットフォームのベンダーとして、バンチボール(Bunchball)・バッジビル(Badgeville)・ビッグドア(BigDoor)の3社を「比較的よく知られたベンダー」として名前を挙げています[1]ブライアン・バーク(著)、鈴木素子(訳)『GAMIFY … Continue reading

以前、バッジビルについてとりあげましたが、今回はバンチボールについて紹介していきます。

バンチボール(Bunchball)の設立とそのサービス

『GAMIFY』によると、バンチボールの創業は2005年とされています。しかし本格的に事業がスタートしたのは今日の主力サービスであるNitroがリリースされた2007年と言えるかもしれません。

NitroはSalesforce、BMC、IBM、Jive、NICE Systems、SAPなど、既存の営業支援ツールや社員間のコミュニケーションツールの外部機能として組み込めるゲーミングプラットフォームです。
無機質な営業促進ツールにゲームの面白さを加え、営業力の向上と会社へのロイヤリティを上げようというものです。

驚くべきはこの対応の幅で、海外で使用されている営業支援ツールにはほぼNitroが導入できるような勢いです。

このNitroという主力製品のほか、コンサルティングサービスとしてゲーミフィケーションをクライアントに提供しています。

2005年創業、2007年にNitroをリリースした後、2010年のMedia Vanguard Awardのベストソーシャルメディアロイヤルティプログラムの受賞を皮切りに、バンチボールはそのサービスの新規性や従業員のエンゲージメントに貢献したとして様々な賞を受賞していきます[2]https://www.bunchball.com/news/awards

バンチボールのゲーミフィケーションは企業のどのような課題を解決できるか?

バンチボールでは自らが提供するソリューションとして、“Training, Learning & Employee Development"、"Motivate Sales Teams"、"Boost Employee Collaboration"、"Engage Service & Support Teams"、"Safety Training, Certification, and Regulatory Compliance"、"Evolve Your Channel Strategy""Grow Your Audience"、"Customer Loyalty & Sales"、"Activate Your Online Community"を挙げています。

日訳すれば以下のようになるでしょうか。

  1. 学習・開発の促進
  2. セールスチームの動機づけ
  3. スタッフ間の連携強化
  4. チャネル戦略の強化
  5. CRMの強化

これらのサービスはいずれもゲーミフィケーションが持つ動機づけの効果を利用しています。
「学習・開発の促進」「セールスチームの動機づけ」「スタッフ間の連携強化」については社内に対しての、「チャネル戦略の強化」「CRMの強化」については社外に対しての動機づけと言えるでしょう。

ゲーミフィケーションで成功するには?

バンチボール(Bunchball)・バッジビル(Badgeville)・ビッグドア(BigDoor)の3社の中で、残念ながらBigDoorの動向はつかめませんでした。Webサイト(www.bigdoor.com)も表示されていないため、おそらく現在は活動をしていないものと思われます。
またバッジビルについても、独立して営業を続けているのではなく、カリダスクラウド(CallidusCloud)に買収され、サービス名としてその名を残すに留まっています。

現在も独立して営業を続けているバンチボールと他の2社との明暗を分けた要因は何だったのでしょうか。

既存Webサービスとの連携が成功のカギ

バンチボール成功の大きな要因が、様々な既存Webサービスに合わせたゲーミフィケーション・プラットフォーム「Nitro」の存在と言えましょう。

単純に「ゲーミフィケーションのコンサルタントをします」「エンゲージメントを高められます」という営業をしていても、未だゲーミフィケーションの知名度も高くなく、さらにその内容もはっきりとしない中で、クライアントから受注を得るのは至難の業です。

一方で、バンチボールのNitroのようにデモ画面を見てもらいながら、Salesforceなどの既存のサービスをより使いやすく、さらに従業員のエンゲージメントを高められることを説明できれば、導入費や運用費がかかったとしても導入すべきであることがクライアントにも理解してもらいやすくなります。
カリダスクラウドに買収されたバッジビルもサービス紹介画面でSalesforceとの連携を前面に押し出しています。

外部APIとして多種多様な他社サービスに対応できたのが、バンチボールの成功要因だったと言えるでしょう。

追記

2022年10月12日に確認したところ、バンチボールのWebサイトもなくなっていました。
また動向がわかり次第、こちらに掲載します。

1ブライアン・バーク(著)、鈴木素子(訳)『GAMIFY ゲーミファイ―エンゲージメントを高めるゲーミフィケーションの新しい未来』東洋経済新報社、2016年、
2https://www.bunchball.com/news/awards