インシデント管理と問題管理の違いは何か?ITサービスマネジメントについて解説
ITサービスマネジメントとは
そもそもサービスとは何か?
サービスと聞くと、皆さんはどんなことを頭に思い浮かべますか?「あの店員さんはサービスがいい」なんて言ったりします。サービスとはお客様を満足させるための、形がない商品であると言えます。
「ITサービス」、すなわちIT分野でいうサービスとは、お客様が求めるサービスをITを通して提供することを言います。エンジニアは、常にお客さんの目線に立ってITサービスを運用していく必要があります。
ITサービスマネジメントとは何か?
ITサービスを運用していくために重要なことは何でしょうか?
システムが故障した時にはすばやく修理できることや、トラブル発生時には問い合わせ窓口で対応してくれることなどが考えられます。
このようにITサービスを継続して提供していくための仕組みをITサービスマネジメントと言います。
ITサービスマネジメントのプロセス
ITサービスマネジメントはいくつかのプロセスから成り立っています。
代表的なプロセスとしては下記のものが挙げられます。
- インシデント管理
- 問題管理
- 構成管理
- 変更管理
- リリース管理
この記事では区別が難しい「インシデント管理」と「問題管理」の違いについて解説していきます。
インシデント管理と問題管理
インシデント管理とは何か?
インシデント管理とは、サービスを迅速に復旧させるプロセスです。インシデントとは「重大事件に発展するリスクのある出来事」という意味です。
「アクシデント」という言葉は聞いたことがある方も多いでしょう。「インシデント」は事故、「アクシデント」は事件と訳されます。インシデントがより重大なトラブルになったものがアクシデントという認識でよいでしょう。
ITサービスにおけるインシデントとは、PCが起動できなかったり電子メールが送信できなかったりなど、「正常に業務が遂行できない状況」のことを言います。
インシデント管理ではこういった状況を、迅速に復旧させるための作業を行います。
とにかく早く復旧することが目的なので、問題の根本解決は行いません。
「なんだかよく分からないけどシステムが動かない」という時、インシデント管理なら迷わずPCの再起動をするようなイメージです。
一方、このインシデント管理とはまた別の目線で問題を解決するのが、次に説明する「問題管理」です。
問題管理とは何か?
問題管理は、インシデントの根本原因を究明し、再発を防止するプロセスです。
先ほど説明したインシデント管理では、すばやく復旧するために問題の究明は行いませんでした。
一方、この問題管理では障害の根本原因を究明します。
たとえば「ネットワークが繋がらない状況」がインシデントだとすると、「LANケーブルは繋がっているか」「無線LAN機器の電源は入っているか」など、原因を究明していきます。
このように、何かトラブルが起きた時の対処法として、
- インシデント管理は迅速な復旧が目的
- 問題管理は原因究明が目的
という違いをはっきり理解しておきましょう。
さいごに
今回はITサービスマネジメントについて、そしてITサービスマネジメントのプロセスのうち、インシデント管理と問題管理の違いについて解説しました。
ITサービスマネジメントはITサービスを継続して提供していくための仕組みです。
インシデント管理はトラブルからの迅速な復旧が目的で、問題管理はトラブルの原因究明が目的でした。