ローカル5Gとは何か?注目される組織内の無線通信について解説

2022年4月4日

ローカル5Gの概要

日本では、2020年3月に、次世代の通信規格として「5G」のサービスが開始されました。
5Gの特徴は、高速・大容量の通信、低遅延、多数同時接続です。
現在、大手キャリアでサービスが提供されています。

一方、ローカル5Gは、大手キャリアの5Gサービスとは別に、企業が自前で構築できる無線通信です。企業が独自に5Gのネットワークを作り、企業内で利用できます。
このローカル5GはWi-Fiに代わる無線通信として期待されています。

今回は、ローカル5Gの特徴と課題を説明します。

ローカル5Gの特徴

ローカル5Gは、下記の特徴があります。

  • 広範囲で通信が可能
  • 高いセキュリティ
  • 安定した通信

以下では、ローカル5Gの特徴について具体的に説明します。

広範囲で通信が可能

ローカル5G以前、企業で使われる無線通信は、Wi-Fiが主流でした。
Wi-Fiは、カバーできる範囲が狭く、長距離通信には不向きな面があります。
そのため、Wi-Fiの場合、広い建物内では、複数のアクセスポイントを設置する必要がありました。
一方、ローカル5Gは1台の基地局で広い範囲をカバーできます。

通信トラブルの影響を受けにくい

ローカル5Gは、周囲のネットワーク状況に左右されません。
キャリアが提供しているネットワークでは、災害時や、大きなイベントの際に、通信ができなくなる可能性があります。
ローカル5Gは、独立したネットワークのため、大手キャリアが提供しているネットワークの影響を受けません。
限られた範囲内で、割り当てられた周波数を独占的に利用するため、電波干渉などで接続が切れたり、速度が低下することがありません。

セキュリティが確保できる

ローカル5Gは、独自のネットワークのため、他のネットワークと切り離された状態で運用できます。
そのため、外部からの攻撃などで、社内の情報が外部に漏洩するリスクを防ぐことができます。

また、ローカル5Gは、SIMに記録した情報を使って、端末認証や、暗号化が可能です。
SIMとは、携帯電話に使われている、加入者を特定するための番号が記載されたICカードのことです。
これにより、通信傍受や、成りすましなどの被害を防ぐことができます。
ローカル5Gは、Wi-Fiよりも強固なセキュリティが確保できます。

ローカル5Gの課題

ローカル5Gは、理解が難しく、複雑な技術です。
技術以外にも、実用化を進めるには、以下のような課題があります。

  • 免許や申請が必要
  • 導入費用がかかる
  • 遮蔽物に弱い

以下では、ローカル5Gの課題について説明します。

免許や申請が必要

ローカル5Gを導入するには、無線局の免許が必要です。
電気通信事業登録、ローカル5G無線局免許申請のほか、国に対して様々な申請が必要です。
また、ローカル5Gを扱うためには、第三級陸上特殊無線技士の資格が必要です。
免許が不要のWi-Fiと比べると、ローカル5G導入のハードルが高いのが現状です。

導入費用がかかる

ローカル5Gを利用するためには、基地局を立てる必要があります。
アクセスポイントを設置するだけのWi-Fiに比べて、その分の費用がかかります。
ローカル5Gは、商用サービスを開始したばかりであり、導入にかかる費用や、維持費が不透明な部分もあります。

遮蔽物に弱い

ローカル5Gは、ミリ波と呼ばれる電波を利用します。
ミリ波は、直進性が高く、遮蔽物に弱い特徴があります。
壁や仕切りなどが多い環境では、通信できる距離が短くなってしまう恐れがあります。

まとめ

ローカル5Gは、Wi-Fiに代わる無線通信として期待されています。
ローカル5Gは、従来の無線通信であるWi-Fiに比べて、広範囲、大容量、安定した通信が可能です。
建設現場、工場、物流倉庫、空港など、様々な場所での活用が期待されています。

参考

技術

Posted by promapedia