アップセル(アップセリング:up-selling)とクロスセル(クロスセリング:cross-selling)の違いとは何か?

アップセルとクロスセルの概要

アップセル(アップセリング:up-selling)クロスセル(クロスセリング:cross-selling)は、ともにセールスやマーケティングに使われる手法です。
ここからは、アップセルとクロスセルの概要を紹介してきます。

アップセルとは

アップセルとは、顧客が購入しようとしているものよりも、より高額な上位商品や関連商品を顧客に提案して購入してもらう手法です。
たとえば、オンラインツールやアプリの無料トライアルを使用しているユーザーに対して拡張機能を使用できる有料版に切り替えてもらえるように提案することはアップセルです。

クロスセルとは

クロスセルとは、顧客が購入しようとしている商品やサービスに関連する別商材を提案して一緒に、または単体で購入してもらう手法です。
たとえば、PCを購入しようとしている顧客に対して周辺機器の購入を勧めたり、ECサイトの商品購入ページに関連商品を表示したりするのはクロスセルです。

アップセルとクロスセルが重要視されるようになった背景

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)が重視されている

アップセルとクロスセルは、ともに顧客ひとり当たりの単価を高め、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)を向上させることが目的です。
LTVとは、顧客がある企業と取引を開始してから取引しなくなるまでの間に、その企業にもたらした利益を累計したものです。

既存顧客との関係維持の重視

情報化社会の影響で、従来のマーケティングからOne to Oneマーケティングへの移行が重要になってきています。
One to Oneマーケティングに移行するためには、顧客ごとにどのような商品を好むのか情報収集が必要ですが、新しい顧客のデータを1から集めるには時間と労力がかかります。
そのため、新規顧客の獲得よりも既存顧客との関係維持を重視した方が費用対効果が高いという判断のもと、アップセルやクロスセルが取り入れられるようになりました。

アップセルとクロスセルの実例

ECサイトの大手・Amazonでは、アップセルとクロスセル両方の手法を用いて顧客単価を高めるのに成功しています。

アップセルとしては、Amazonで商品を検索すると、検索結果に上位商品が表示されます。たとえば「PCディスプレイ」を検索すると、価格順ではなく、Amazonがおすすめする商品が提示されますが、これによって購入単価の増加を図っています。

クロスセルとしては、商品の説明画面では「こちらもおすすめ」として関連する商品や「よく一緒に購入されている商品」が表示されます。
これにより関連商品の販売を促し、売上増加を図っています。

ダウンセルとの違い

アップセルの反対の意味をもつ用語にダウンセル(ダウンセリング:down-selling)があります。

ダウンセルとは、予算に合わない、希望価格に見合っていない、そこまでの品質を必要としないなどの理由から購入を見送ろうと判断した顧客に対して、当初より下位であったり価格の低い商品やサービスを提案して購入を促し、売り上げを確保しようとする販売手法です。
顧客単価を高めることができないという点でアップセルやクロスセルとは異なりますが、顧客をつなぎとめることでその後のアップセルやクロスセルにつなげることも可能です。

参考