スリーパー効果とは何か?効果の内容とビジネスでの活用方法を解説

2022年11月29日

スリーパー効果とは

スリーパー効果(Sleeper effect)とは、信頼のおけない情報源から得た情報でも、時間が経過するとともに情報源への不信感が薄れ、情報への信頼性が高まっていく心理現象のことです。
初めて聞いた状態では信憑性の低さから情報源や内容を疑っていたとしても、一定の期間を置くと本当のことかもしれないと信じやすくなる現象を指します。

スリーパー効果は、アメリカの心理学者であるカール・ホブランド(Carl Ivor Hovland)ワルター・ワイス(Walter Weiss)によって1940年~1950年代頃に提唱されました。
時間とともに情報源の疑わしさが眠ってしまう(sleepしてしまう)ことから、スリーパー効果と呼ばれるようになったと言われています。
時間の経過とともに信憑性の低い情報でも情報源と情報の切り離しが行われてしまい、最終的には情報だけが残ることで信じてしまうということが影響しています。

動画でも解説しています

スリーパー効果については、動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

スリーパー効果が発生する理由

スリーパー効果のグラフ
スリーパー効果を表したグラフ(画像はWikipediaより)

スリーパー効果は、人の記憶の特徴を利用した現象と言われています。
人は話を聞いた際、「誰から聞いた情報なのか」といった情報源を気にする傾向があります。
普段いい加減なことを言う相手からの情報など、情報源が信頼できない場合は情報の内容を鵜呑みにはしません。

しかし、ある程度の時間が経過すると、「誰からの情報だったのか」ということを忘れ、「何を聞いたのか」という内容だけが記憶に残ります。
そのため、インパクトの大きな内容ほどスリーパー効果は影響を及ぼしやすいと考えられています。

一方で、情報源を初めから信用していた場合は、時間経過とともに内容の信憑性が下がる傾向があると言われています。
元々信頼できる情報という思いから、時間が経過するとともに「誰からの情報だったのか」を忘れてしまい、信頼している情報のみが記憶され「本当に信頼できる情報なのか」という疑心が生まれるためです。
そのため、最初に情報源を信頼していない場合の方が、スリーパー効果の影響が大きくなります。

このように、一般的に情報は時間とともに説得力が減退しますが、スリーパー効果が起きると、時間とともに情報の説得力が強まるのが特徴です。

スリーパー効果の活用方法

時間を掛けた説得

スリーパー効果の活用として、時間を掛けた説得を行うと効果的です。
1回の説得に時間を掛けるよりも、インパクトのある説得を何回も繰り返すことで相手の記憶に情報の内容を残すことができます。

また、説得に関しても断られた直後にまた同じ話をしても相手に不快感を与えてしまうだけになるため、時間を置いて焦らず伝えていくことが重要です。
スリーパー効果の特徴として、時間が経つと情報の内容だけが記憶に残ることに着目し、相手が忘れかけたタイミングで再度話を切り出すことで相手に興味を持ってもらえるかもしれません。

同じ説得方法を繰り返さない

売り込みたい商品や検討してもらいたい企画を何度も相手に伝えることが重要です。
注意点として、同じ表現方法として決まった言い回しを繰り返していると相手が呆れて話を聞いてくれなくなる恐れがあるため、視点を変えて様々なアプローチで伝えたい内容を情報の記憶として残せるように工夫が必要です。対面だけでなく、電話やメールで接触することや、SNSを利用して外からの情報として認識させるといったことも1つの方法です。

商品を売り込む

新規顧客を開拓する際は、まだ顧客との間に信頼関係がないため中々話を聞いてもらえない場合があります。
商品の魅力や価値を説得しても、初対面であることから警戒心が強まり、契約を結ぶことは容易ではありません。

「ブーメラン効果」という心理現象により説得される側の態度が身構えることで硬化し、逆に反発してしまうことがあります。ブーメラン効果を発生させないように新規顧客といった関係の浅い人に勧める場合は、反応が悪ければ素直に引き下がる方が得策です。

そして、しばらく時間を置くことでスリーパー効果が生まれ、「初対面で商品を説得しにきた人」への嫌悪感が薄れるとともに、商品への興味や購買意欲が徐々に沸いてくるかもしれません。

ステップメールを活用する

ステップメールとは、予め準備した内容を決められた期間、タイミングで配信するメールのことです。顧客の心理として初めはステップメールの情報に対して信頼性が低いと感じていたとしても、定期的にメールが届くため少しずつスリーパー効果が働き始めます。
配信期間としても情報源の信頼性が薄れる1ヵ月を目安に設定するのが効果的です。スリーパー効果が効いた1ヵ月のタイミングで売り込みを掛けていくと、購入意欲を高めることが期待できます。

コンテンツ作成への活用

スリーパー効果は、ブログなどのコンテンツ作成にも活用することができます。
コンテンツとして開始した当初の状態では、まだターゲット顧客との接触頻度も低く、コンテンツの内容に対する信頼性も高いとは言えません。

更新頻度を高めることで顧客の記憶に残すことができるため、会社の実績が少ない場合でも商品やサービスを購入してくれる可能性が増えます。ただし、同じ内容ばかりを更新しては顧客に不信感を与えることになるため、アプローチ方法や商品、サービス説明にインパクトを持たせることが必要です。

SNS発信に活用する

ターゲット顧客とのやり取りとして、初めは意識的に売り込みたい商品やサービスをキーワードとして繰り返し伝えます。キーワードについて内容が同じものであっても、相手に不快感を与えないように表現を変えて伝えることが重要です。SNSでのやり取りでキーワードをよい印象で記憶に残すことができればスリーパー効果が働くため、商品の購入意欲を高めることができます。

参考