ラン・チャートとは何か?プロセスのパフォーマンスを表示するために使われるグラフを解説
ラン・チャートの概要
ラン・チャートとは、特定の期間内の特定プロセスのパフォーマンスを表示するために使用されるグラフのことです。主にプロセス改善が必要な特定のプロセスのパフォーマンスを追跡するために利用され、各工程の特別原因による変動の証拠を見つけるためにラン・チャートを使用します。
ラン・チャートでは、特定の値がプロットされ、平均からのデータ移動を把握するために平均線が設定されます。この平均線(中心線)は、検証している測定の中間点を示しています。
特別原因による変動の検出
数値の変動は多くの工程で発生します。工程の自然、または期待変動によって生じる変動は一般変動と呼ばれ、特別原因による変動は、外部要因等から発生する異常な出来事によって起こる予期しない変動となります。ラン・チャートでは、データのトレンドや振動、混合、およびクラスター化による非ランダム変動について、ランダム性に関する検証も行うことが可能です。特別原因による変動を特定し、除外することが重要となるため、ラン・チャートを活用して特別原因の検出を行います。
ラン・チャートで検出できる非ランダムなパターン
ラン・チャートで検出される非ランダム性のパターンは以下の4種類です。
混合パターン
混合パターンの特徴は、中心線と頻繁に交差することです。混合が発生する原因としては、2つの母集団がデータに混在している、もしくは2つの工程が異なる水準で行われている場合に多く発生します。
クラスターパターン
クラスターパターンは、測定上の問題、ロットごとまたは設定の変動性、不良品のグループからサンプルを抽出したといった特別原因による変動を示しています。異常値がまとまって表示されることからクラスターと呼ばれています。
振動パターン
振動パターンは、データが上下変動する場合に発生し、工程が不安定であることを示しています。データ値が上下に揺れるような測定結果となっていることが特徴です。
トレンドパターン
トレンドパターンでは、データ値が持続的に上昇(もしくは下降)する値が検出された場合に発生し、工程が管理外になっている、もしくは管理外になることを警告することを示しています。発生原因の一つとして、摩耗したツールの利用、設定が維持されていない機器、または、測定者が交代した際に発生します。
ラン・チャートと管理図の違い
ラン・チャートと管理図の違いとして、ラン・チャートは特定の期間内の特定のプロセスのパフォーマンスを測定するために使用されることに対し、管理図は、製品の品質管理等、工程が安定しているかを判断するために使用されます。
そのため、ラン・チャートには、管理図に設定される「上方管理限界線(UCL)」「下方管理限界線(LCL)」がなく、中心線についても、測定値の平均点ではなく、測定の中央値を表します。