ハイブリッド型アプローチとは何か?予測型アプローチと適応型アプローチを組み合わせた手法を解説

2022年4月22日

ハイブリッド型アプローチの概要

ハイブリッド型アプローチは、予測型アプローチと適応型アプローチを組み合わせた手法で、それぞれのアプローチの長所を活かした開発手法です。
具体的には、開発の中でも不確定な要素が多い工程は適応型アプローチを、おおよそ条件や要件が固まっている工程は予測型アプローチで進めていきます。

従来取り入れられている予測型アプローチの弱点である、開発進行中の要件変更やテスト結果に基づいた臨機応変な改善などをしやすくするためにできたアプローチ方法になります。
また、適応型アプローチでは仕様がなかなか決まらないことや、納期に間に合わないリスクの高さが弱点でしたが、これらの点もハイブリッド型アプローチで解消が可能です。

ハイブリッド型アプローチでの開発の進め方

ハイブリッド型アプローチの基本的な開発の進め方は、予測型アプローチや適応型アプローチに沿ったものとなります。たとえば、下記のような進め方が想定できます。

  • 要件定義
  • 基本設計
  • 機能Aの詳細設計
  • 機能Aの実装
  • 機能Aの単体テスト
  • 機能Bの詳細設計
  • 機能Bの実装
  • 機能Bの単体テスト
  • 結合テスト
  • 総合テスト
  • 受入テスト
  • リリース

要件定義から基本設計は予測型アプローチで開発を行い、機能ごとの詳細設計から単体テストは適応型アプローチ、結合テスト以降は予測型アプローチ、といった流れです。
もちろん、上記の開発の進め方は一例ですので開発内容に合わせて組み合わせを変えることもできます。

開発の考え方は、予測型アプローチ寄りのハイブリッド型アプローチと適応型アプローチ寄りのハイブリッド型アプローチに分かれます。

予測型アプローチ寄りのハイブリッド型アプローチ

技術的な課題がある程度明確になっている上で、予見性の高い案件ではあるが想定外の事態にはしっかり対応していきたい、継続的な機能の追加・改修が見込まれるといった場合に採用しやすい開発手法です。

適応型アプローチ寄りのハイブリッド型アプローチ

予測型アプローチでの開発経験の長い開発者がいる場合や開発経験の浅いメンバーが多数在籍している場合など、適応型アプローチを徐々に導入したいケースや、予測型アプローチにおける仕様変更のリスクを軽減したい際に採用しやすい開発手法です。

ハイブリッド型アプローチのメリット・デメリット

ハイブリッド型アプローチのメリットは、予測型アプローチと適応型アプローチのデメリットをカバーできる点です。
予測型アプローチのデメリットには、フィードバックの機会が少ないことから変更対応が難しい、開発内容が見えにくいなどがあります。また、適応型アプローチのデメリットは全体スケジュールを管理しにくい、上流工程や下流工程の対応が弱いなどです。
つまり、上流工程・下流工程に予測型アプローチを、実装段階など中流工程には適応型アプローチを採用することで、開発がよりスムーズに行えます
また、非常に柔軟性の高い開発手法であることから、開発に合わせたオーダーメイド対応ができる点もハイブリッド型アプローチの魅力です。
日々進化するIT技術への対応やユーザーニーズの変化にも応じやすく、開発スピードを早めることもできます。

ハイブリッド型アプローチのデメリットは、開発担当者が予測型アプローチと適応型アプローチのメリット・デメリットを知った上で開発を進めていく必要がある点です。
ハイブリッド型アプローチは、それぞれのいいとこどりをした開発手法になります。しかし、そのことを知らないで開発を進めてしまうと、「上流設計は厳密に計画が立てられているのに、なぜ実装部分は柔軟な対応を求められるのか」「開発しにくい」といった内部での問題や不満が起きやすいです。
柔軟な対応や臨機応変な対応が難しい開発者にとっては、ストレスに感じやすいアプローチ方法とも言えます。

参考