コスト予測とは何か?コスト・マネジメントで使われる技法を解説
コスト予測の概要
コスト予測は「コスト・マネジメント」に含まれる作業の1つです。
PMBOKでは、プロジェクトのマネジメントに関する知識を9つの分野に分類しています。
そのうちの1つが「コスト・マネジメント」です。コスト・マネジメントは、承認済みの予算でプロジェクトを完了させることを目的とした知識体系になっています。
またプロジェクトマネジメントにおいて、PMBOKは「立ち上げ→計画→実行→監視・コントロール→終結」といった5つのプロセス群を掲げています。
コスト・マネジメントはこの中の「計画」「監視・コントロール」で扱われる作業です。
「計画」「監視・コントロール」のコスト・マネジメントでコスト予測が行われる、と考えるといいでしょう。
計画時のコスト・マネジメント
計画時のコスト・マネジメントでは、「コスト見積もり」と「予算設定」を行います。
この「コスト見積もり」はまさにコストを予測する作業と言えるでしょう。
「コスト見積もり」
コスト見積もりは、「その時点での情報を使って、プロジェクトのコストを予測する」作業です。
主にはプロジェクト開始~完了までのコスト案を検討したり、コストを最適化するために、資源の扱いや共有方法を考えます。
たとえば装置などの資源であれば、内製するのか、購入するのか、リースや買い取りを行うのか、といった施策もこのタイミングで検討します。
コスト見積もりは「その時点の情報」でコストを予測します。
そのため、詳細な情報が追加されるたびに、見積もりの精度も上がっていきます。
PMBOKでは、プロジェクト立ち上げ時のコスト見積もりの精度は±50%、詳細な情報を収集完了した際の精度は±10%とされています。
プロジェクト立ち上げ時の見積もりを、「超概算見積もり(ROM)」と呼びます。
コストの見積もりは、プロジェクトに関わるすべての資源に対して行われます。
この場合の資源とは、材料などはもちろん、人的資源や偶発的なリスクなども検討対象に入ります。
監視・コントロール時のコスト・マネジメント
監視・コントロール時のコストマネジメントでは、「コスト・パフォーマンス・ベースライン」に加えられる変更を検討します。
「コスト・パフォーマンス・ベースライン」とは、予算設定時に作成される「完成時総予算(BAC)」のことを指します。この設定をベースに、プロジェクトのコストをコントロールしていきます。
プロジェクト進行中のコスト予測では、以下の値を算出・使用します。
完成時総予算(BAC…Budget At Completion)
プロジェクトやアクティビティを実行するために割り当てられた予算の合計。
完成時総コスト見積もり(EAC…Estimate At Completion)
プロジェクト進行時、現在までの実コストに残作業コスト(ETC)を足したもの。
残作業コスト見積もり(ETC…Estimate to Complete)
今後のすべての作業を完成させるためのコスト。