チェックリストの使い方 ~知られざるその効果と、良いチェックリスト・悪いチェックリストを解説~

2021年7月20日

チェックリストの概要

チェックリストのイメージ画像

チェックリストとは、考慮されるべき事項、処置、ポイントをリスト化したものです。
ある作業の手順をリスト化したり、確認事項を列記していくことで、チェックリストは作成されます。

チェックリストの効果

チェックリストは簡単に作成することができ、様々な効果が期待されます。
ここからはチェックリストの効果をいくつか紹介していきます。

作業内容・手順を守らせることができる

チェックリストを使った時に期待される効果の代表的なものが、利用者に作業手順を守らせることができるというものです。
チェックリストがなければ、「どのような作業をするのか」「作業をどのように進めるか」が属人的になってしまうことがあります。
しかし、チェックリストがあれば、作業内容やその進行手順があらかじめ定められることにより、作業を進める人によって対応する内容や手順が異なることを防ぐことができます。

上下関係をフラットにする

チェックリストを用いることにより期待される2つ目の効果は上下関係をフラットにすることです。
先ほどはチェックリストがないと作業が属人化してしまうおそれがあることをお話ししました。それと同様に、チェックリストがなければ、発言力の強い人物の意見が採用され、正しい意見が退けられたり、発言力の弱い人が意見を出すことをひかえてしまったりすることがあります。
しかし、チェックリストがあれば、あらかじめ作業内容が定められているため、組織内の発言力や立場によって作業内容が変わるということが少なくなります。

緊急時での判断の誤りを防ぐ

チェックリストで期待される3つ目の効果は、緊急時での判断の誤りを防ぐことです。
何かのトラブル時には人は正常な判断力を失い、平時では考えられないミスをしてしまうことがあります。
しかし、緊急時であってもチェックリストがあれば、それに従って対応すればよいため、パニックに陥らずに作業を進めることができます。

良いチェックリスト、悪いチェックリスト

ここまではチェックリストを用いることによって期待される効果を紹介してきました。
しかし、チェックリストがあれば無条件にメリットを享受できるというモノではなく、効果が期待できる良いチェックリストを作らなければなりません。

使い勝手の良いチェックリストは、内容が明確で、効率的で的確であり、どんなに厳しい状況でも簡単に使えるものです。一方で、悪いチェックリストというのは、内容が曖昧であり、冗長で実用に適しません[1]アトゥール・ガワンデ … Continue reading

また、優れたチェックリストであっても、時間とともに情報が古くなってしまうことがあるため、定期的にリストの内容を見直し、適宜更新していくことも大切です。

読書案内

今回はチェックリストの効果と使い方についてご紹介してきました。
読書案内として、今回の参考文献をご紹介します。

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】

はじめにご紹介するのは、『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】』です。
同書では、建設業から医療現場、飛行機のパイロットまで、様々な場面や職種でチェックリストが使われており、その効果が高いことを解説しています。

失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織

『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』は、タイトルの通り、「失敗」をテーマにした本です。
この本の中でも、失敗を反省した組織が、同じ失敗を繰り返さないためにチェックリストを導入する様子が紹介されています。

1アトゥール・ガワンデ (著)、吉田竜(訳)『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?【ミスを最大限に減らしベストの決断力を持つ!】晋遊舎、2011年、139頁。』