成功するマーケティングの5つの原則 ~『マーケティングは「嘘」を語れ!』より~

今回はセス・ゴーディンの『マーケティングは「嘘」を語れ!』から、成功するマーケティングの5つの原則を紹介していきます[1] … Continue reading

原則1:マーケティング以前に、消費者の世界観・枠組みが存在する

消費者には、独自の世界観や枠組みが存在します。いわゆる「色メガネ」と呼ばれる偏見や固定観念を持っていることがほとんどです。

マーケターは、そうした消費者の世界観や枠組みを把握し、それに沿ってマーケティングを考える必要があります。

たとえば、子どもに健康に良いスナック菓子を考えたとします。しかし、一般的にスナック菓子は健康には悪いというイメージが持たれています。
こうしたイメージを把握し、うまく活用することが大切です。

原則2:人々は新しいものにだけ気づき、そのうえで推測する

消費者は新しいものには敏感に反応しますが、ありきたりなものには反応しません。
先ほどのスナック菓子の例でいうと、既存の固定観念を覆す「健康に良いスナック菓子」であれば、人は興味を持つかもしれません。
しかし、単に「おいしいスナック菓子」という商品を売り出しても、消費者は関心を持ってくれません。

原則3:物語は第一印象から始まる

どのような商品も、第一印象が大切です。消費者は第一印象から、商品を判断します。
『マーケティングは「嘘」を語れ!』では、第一印象に関する面白い訓戒が書かれているので、以下に掲載します[2]『マーケティングは「噓」を語れ!』113~114頁。

  1. とっさの判断は、信じがたいほど強力である。
  2. 人間は、最初の判断を補強するためだったら何でもする。
  3. 見込み客に即座に判断を下してほしいと思うか否かにかかわらず、見込み客は即座に判断を下す。
  4. 人々は、とっさの判断を補強するためにする行為の一つが、その判断を他の人に語ることである。
  5. 重要な「第一印象」が、どのインプットを材料にして生成されるかは決してわからない。
  6. 「ホンモノ」の組織・人間が語ろうとする物語のほうが、聞き入れられ、信じられ、繰り返される可能性ははるかに高い。

この中にでてくる「物語」「ホンモノ」については、原則4および原則5で解説していきます。

原則4:優れたマーケターは、私たちが信じるような物語を語る

『マーケティングは「嘘」を語れ!』では、「物語」という言葉が頻出します。本書で使われる物語とは、製品やサービスを疑似的に体験するような話のことです。

たとえば、都心から離れて、田舎暮らしを考えている夫婦がいるとします。こうした見込み客に対して家を売りたい時は、どのようにすればよいでしょうか。
単に、家の価格や設備、機能を話すだけでは不十分です。
「この家からは湖が近くで、週末やバーベキューができます」「土地が広いので野菜を育てる人も多いんですよ」というように、その家を買った後の暮らしを物語るのが最適です。

原則5:「ホンモノ」を持っているマーケターが成功する

マーケターが「ホンモノ」かどうかは、物語の正統性にかかっています。
原則4で紹介した物語は、顧客が商品やサービスを購入する前はもちろんのこと、購入した後でも現実になるかどうかはわかりません。
しかし、語られた物語が現実に起こりうると思わせられるマーケターが、今後のマーケティング業界で勝ち残っていくというのが『マーケティングは「嘘」を語れ!』の主張です。

1セス・ゴーディン(著)、沢崎冬日(訳)『マーケティングは「嘘」を語れ!顧客の心をつかむストーリーテリングの極意』ダイアモンド社、2006年、34~36頁。以下、『マーケティングは「噓」を語れ!』と略記
2『マーケティングは「噓」を語れ!』113~114頁。