ビルドトラップとは何か?プロダクト開発における問題の原因とその対処法を解説
ビルドトラップの概要
ビルドトラップとは、組織が「どの程度顧客の問題を解決したか」ではなく、「どの程度の数の機能をリリースしたか」をプロダクトマネジメントの成功基準にし、プロダクトが行き詰ってしまう状況のことを指します。
この言葉は『プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』で紹介されている言葉で、同書のサブタイトルにもなっています。
この内容は動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。
ビルドトラップが発生する原因
プロダクトの価値に対する誤解
ビルドトラップが発生する原因は、プロダクトを持つ組織がそのプロダクトの価値を誤解していることです。
プロダクトの価値は、本来プロダクトが提供している機能やサービスが顧客の問題をどの程度解決し、どの程度要望を叶えているかで測定されるべきです。
しかし、こうしたプロダクトの価値の基準が組織にない場合、プロダクトの価値は「どの程度の機能を持っているか」、つまり機能の数やその機能をリリースした数で判断されてしまいます。
その結果、様々な機能を有しながらも、顧客が満足しないプロダクトができてしまい、プロダクト開発が行き詰ってしまいます。
ビルドトラップに拍車をかける存在
ビルドトラップに拍車をかける存在として、『プロダクトマネジメント ―ビルドトラップを避け顧客に価値を届ける』では「ウェイター」という存在を挙げています。
これは同書の造語であり、プロダクトに何が必要かを考えず、顧客やステークホルダー、マネジャーが欲しいといった機能を開発しようとする悪いプロダクトマネジャーを指しています。
このウェイターがプロダクトマネジャーになってしまうと、言われたままに機能を開発していくため、プロダクトの機能は増えていきます。しかし、それがプロダクトの魅力の強化につながっているというわけではありません。
顧客やステークホルダー、マネジャーの要望は、必ずしも彼らが抱えている問題を解決する手段というわけではありません。
そのため、プロダクトマネジャーはそれらの要望を受け取り、「何が必要か」を考える必要があります。
しかし、ウェイターのプロダクトマネジャーは、言われた機能を作るだけなので、結局は顧客やステークホルダーの問題を解決できず、使われないプロダクトができてしまいます。
ビルドトラップの対処法
上述の通り、ビルドトラップが発生してしまう原因は、プロダクトの価値を誤解していることです。
そのため、ビルドトラップに対処するためには、顧客の問題を解決することがプロダクトの価値であるということに立ち返り、顧客に寄り添う必要があります。
そして、ただ顧客の話を鵜吞みにするウェイターになるのではなく、顧客の要望の裏にある問題が何なのか、そしてそれを解決するためにどのような機能をつければよいのかを考えていく必要があります。