PMBOKに出てくる前提条件ログとは何か?

2021年8月25日

PMBOKに出てくる前提条件ログ

PMBOKに登場する前提条件ログとは、プロジェクトに与えられた条件を事前に記録するためのものです。
前提条件ログに記録されるものには、「前提条件」「制約条件」があります。
「前提条件」はプロジェクトにおいて自ら設定したもの、「制約条件」は周囲の要因などから与えられたものです。

前提条件ログは主に「プロジェクト憲章」を作成する際に使用されます。

プロジェクト憲章とは

「プロジェクト憲章」とはプロジェクトの開始時に作成される文書です。「プロジェクトチャーター」とも呼ばれます。

プロジェクト憲章は、プロジェクトを認可するために作成する文書です。主にプロジェクトのスポンサーやイニシエーター(発起人、創始者)によって作成されます。
この憲章が作成されることによって、プロジェクトマネジャーは企業の資源を使用する権限を与えられ、プロジェクトを遂行できるようになります。

プロジェクト憲章に書かれるべき内容として、以下のようなものがあります。

  • 顧客のニーズ
  • プロジェクトに対する要求事項
  • 前提条件、制約条件

このうちの「前提条件」「制約条件」を記録するものが前提条件ログです。

前提条件と制約条件の違い

前提条件と制約条件は以下のような違いがあります。

制約条件

プロジェクトに取り掛かるチームの力では変更できない条件のことです。
顧客や組織、法律などによって課せられます。
たとえばプロジェクトの予算、納期、法律的な制限などが挙げられます。

前提条件

プロジェクトを遂行するにあたって、「成立すると仮定できる要素」を指します。
たとえば必要な要員が十分に配置される、マネジャーに十分な裁量権が与えられるなどです。プロジェクトを遂行する人が期待する要素と捉えてもいいでしょう。
前提条件が崩壊すると、それはリスクに転じます。
すなわち、事前に前提条件をしっかり洗い出すことで、発生する可能性のあるリスクを特定しやすくなります。

前提条件ログの役割

前提条件ログは「スコープの定義」やリスクの特定のインプットとなります。

「インプット」とは、プロセスの進行に必要な材料のことです。「プロセス」は一連のタスクの集合を指します。
「プロジェクトは複数のプロセスを実行していくことで完成する」というのが、プロジェクトマネジメントの基本的な考え方となります。

「スコープ」とは、プロジェクトで実行する作業や成果物の範囲を示すものです。
スコープの定義によって、プロジェクトで実行すること・しないことを明文化できます。

スコープには「プロジェクトスコープ」と「プロダクトスコープ」の2種類があります。
「プロジェクトスコープ」は、成果物を生産するために「実行する作業」を定義します。
「プロダクトスコープ」はプロジェクトやサービス、成果物などに特有の特性・機能などを定義するものです。
これらの定義においても、前提条件ログは重要な存在です。

用語

Posted by promapedia