ジェフ・ベゾスの育て方 ～なぜ好奇心旺盛な人間になったのか？～
ジェフ・ベゾスの幼少期のエピソード
Amazonといえば、"GAFAM"の一つの企業であり、ECサイトのみならず、さまざまなIT基盤のサービスを提供する世界的な会社です。
そのAmazonの創業者のジェフ・ベゾスはさまざまな面白いエピソードを持っています。
今回は『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』から、ジェフ・ベゾスの幼少期のエピソードを紹介し、子どもの好奇心を育む方法を考えていきましょう[1]キャロライン・アダムス・ミラー（著）、宇野カオリ（監修）、藤原弘美（訳）『やり抜く力 … Continue reading。
母親ジャックリンの子育て
ジェフは母親ジャックリンが17歳になったばかりの時に生まれました。
ジャックリンは若くして母親になったために先入観なく子どもを育てられたと述べており、子どもたちが自分の好きなことを思いきりさせてあげることが、母親の責任と考えていました[2]『GRIT』153～154頁。。
このようなジャックリンの方針の中で、ジェフはどのように育てられたのでしょうか？
カオス号の船長
ジェフが３歳の時、幼児用のベッドではなく、大人用のベッドで寝たいと言い出したようです。
ジャックリンも初めは「大きくなったらね」と諭したようですが、次の日ジェフの部屋に入ると、ジェフは自分で幼児用のサークルベッドを解体していたようです。
この時、ジャックリンは怒ることはせず、いっしょにベッドを解体し、ジェフを大人用の大きなベッドに寝かしたようです。
また、ジェフは弟や妹が部屋に入ろうとしたときにアラームがなる装置を部屋に取り付けていたことは有名なエピソードですが、この他にも食器棚の取っ手をすべて糸でつなぎ、一つの棚を開くとすべての棚が開くといういたずらもしていたようです。
それでもジャックリンは怒らず、子どもの好奇心を遮るようなことはしませんでした。
話を聞いてあげる
ジェフの工作の中に「インフィニティ・キューブ」というものがあります。
透明な立方体（キューブ）のなかに合わせ鏡を設置して、モーターで稼働させ、両面の鏡に無数の鏡像を映し出すというものです。
ある日、ジャックリンと友人が立ち話をしている時に、ジェフがこのインフィニティ・キューブの仕組みを説明しに来ました。
ジャックリンはたまに質問をしながら、ジェフの話を聞いていたようです。
ジェフが戻った後、友人から「いまの話、全部わかったの？」と聞かれたジャックリンは「全部わからなくていいのよ。大事なのは話を聞いてあげること」と返したようです。
子どもの好奇心は自然と生まれてきますが、その好奇心を育むのは、周囲の反応、とくに親からの反応が大切です。ジャックリンは自然とそれを理解していたのでしょう。
惜しみなくサポートする
これまで見てきたように、ジャックリンはジェフの好奇心を育むために、惜しみないサポートをしてきました。
たとえば、ジェフが高校生になると、ガレージを研究室にし、さらに工作に打ち込める環境にしました。
ある日、ジャックリンは高校から、ジェフが午後の授業を欠席したという連絡を電話で受けます。
ジャックリンは帰宅したジェフに「午後はどこに行っていたの？」という質問をしたところ、「飛行機の翼に働く摩擦と抗力を、実際の機体を使って実験したいと思っていたんだ。そうしたら、地元の大学の教授が実験をやらせてくれるっていうから」と答えたそうです。
ここでも、ジャックリンはジェフを責めず、「わかったわ。じゃあ、授業時間以外に実験をさせてもらえるかどうか、頼んでみましょう」と言ったそうです[3]『GRIT』155頁。。
このエピソードは、ジャックリンのサポートする姿勢だけでなく、ジェフが「どこに行っていたの？」という質問に対して、正直に解答したという点も注目に値します。
これまで培ってきた関係性により、ジェフはジャックリンに本当のことを打ち明け、それによってジャックリンも対応策を考えることができました。
ジェフ・ベゾスの名言
これまで見てきたように、ジャックリンに興味を伸ばしてもらいながら育てられたジェフは、このような名言を残しています。
無理やり興味を持とうとするのは大きな間違いだ。あなたが情熱を選ぶのではなく、あなたの情熱があなたを選ぶ
One of the huge mistakes people make is that they try to force an interest on themselves. You don’t choose your passions; your passions choose you.
このようなことが言える人物になるには、ジャックリンのサポートが少なからず影響していたでしょう。
Amazonの設立時にも、ジェフは両親から30万ドルの出資を受けたと言われており、物心ともにジャックリンはなくてはならない存在だったようです[4]https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%BE%E3%82%B9。
参考
書籍
- キャロライン・アダムス・ミラー（著）、宇野カオリ（監修）、藤原弘美（訳）『やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける』すばる舎、2016年
Webページ
- https://quotefancy.com/quote/1093106/Jeff-Bezos-One-of-the-huge-mistakes-people-make-is-that-they-try-to-force-an-interest-on
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%99%E3%82%BE%E3%82%B9