どうやって会社の問題の兆候を発見するのか ~『ジャック・ウェルチの「リアルライフMBA」 ビジネスで勝ち残るための13の教え』より~
問題を見つけていくことから始める
問題をまったく抱えていない会社はないと思いますが、問題意識を常にもっており、その解決に向けて組織一丸となって取り組んでいるという会社は少ないのではないでしょうか。
このページでは、会社の問題に取り組むにあたって「そもそもどうやって問題を発見するのか」について概説していきます。
危機の兆候を察知する
ちょっとした変化も問題の兆候
「会社のすべてが順調という訳ではないけど、何が問題かははっきりわからない」
そんなときは、最近感じた小さな変化の分析からはじめることをおすすめいたします。
20世紀最高のCEOとも呼ばれるジャック・ウェルチは著書で以下のように述べています。
ビジネスで何か気にかかることがあるときは、危機が迫っている兆候であることが多い[1]ジャック・ウェルチ(著)、スージー・ウェルチ(著)、斎藤聖美(翻訳)『ジャック・ウェルチの「リアルライフMBA」 … Continue reading)。
例えば
- 主要顧客からのメールの返信が遅くなった
- ライバル企業の製品の評価が突然高くなった
- 「いずれは」など、クライアントの表現があやふやになる
このような小さな変化は日常茶飯事のことなので無視されることも多いのですが、これらの事柄に真剣に取り組んでいくと、会社の問題が浮き彫りになっていきます。
例えば
- A社がメールの返信に時間がかかるようになったのは、他社と比較しているからではないか?
- 他社の料金を調べるとライバル企業の製品の評価はSNSから高まっているようだ。一方我々はまったくSNSを活用していない
というような問題が明らかになるでしょう。
現場は把握していることも
危機の兆しである小さな変化は、現場のほうが詳しく把握していることもあります。
現場の意見を吸い上げ、対策を講じていくことも大切です。
現場の意見の吸い上げについては、ページを改めてご紹介していきます。
数字で把握する
見える化で数値を計測する
これまでは定性的な問題発見の方法を見てきましたが、これからは定量的な問題発見の方法を見ていきましょう。
定量的に問題を把握するには何よりもまず見える化を進め、あらゆる業務の数値データを集めていきます。
製品の製造にかかるコストから顧客のメール対応に費やしている時間まで、あらゆるデータを取得していきます。
財務諸表を見直す
損益計算書・貸借対照表などの財務諸表は何よりの健康診断です。
売上がどうなっているか、費用はどうなっているかだけでなく、持っている資産に対してどのくらい利益が生み出されているのかなどの財務諸表分析により、会社を生きたまま腑分けすることができます。
この財務諸表分析についてはページを改めてご紹介していきます。
他社はどうか
業務の見える化、財務諸表の見直しにより、数値データを把握した後、自社のみで問題を見つけていくことも大切ですが、「他社と比べて自社はどうか」という視点を持つことが肝心です。
「自分たちのサービスは他社と比べて工数(作業時間)がかかりすぎている」「わが社の売上は伸びていると思っていたけど、同業他社に比べて伸びが悪い」など、様々な知見が得られるはずです。
注
↑1 | ジャック・ウェルチ(著)、スージー・ウェルチ(著)、斎藤聖美(翻訳)『ジャック・ウェルチの「リアルライフMBA」 ビジネスで勝ち残るための13の教え』日本経済新聞出版社、2016年、58頁 |
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