なぜ読書をしても頭に残らないのか?記憶に残すために必要なことをアウトプットとインプットで解説

本を読んでも頭に残らないのはなぜ?

「ビジネスの本を何冊も読んだけれど、内容は忘れてしまった」
「セミナーを受けたけど、なにも活用できていない」
こういった経験はありませんか?

本を読んだり、セミナーに行ったりしても、学んだことが頭に残らないと「無駄なことしたな」と落ち込んでしまいますよね。

今回は読書をしても頭に残らない理由と、記憶に残すために何が必要なのかを、「アウトプット」と「インプット」という言葉を使って解説していきます。

アウトプットとは何か?

アウトプットとインプットの違いのイメージ

アウトプットとは、「話す」「書く」「行動する」といった出力のことを言います。

このアウトプットと、セットで語られるのがインプットです。インプットはアウトプットの反対で「入力」です。つまり、「聞く」「読む」がこれに当たります。

さらに具体的に説明すると、「本を読む」「セミナーを聞く」がインプットで、その内容を「誰かに話す」「書いてまとめる」のがアウトプットです。

アウトプットは運動性記憶

子どもの頃、「漢字を書いて覚えなさい」「英単語は声に出して覚えなさい」と言われたことはありませんか?
「書く」「話す」は、運動神経と筋肉を使って行われます。このような運動神経を使う記憶は、運動性記憶と呼ばれます。

たとえば、自転車の乗り方を覚えるのも運動性記憶です。
自転車の乗り方は、一度乗れるようになってしまえば、なかなか忘れることはなく、何年も乗っていなかったとしても、またすぐに乗ることができます。

このように、「書く」「話す」といったアウトプットは、自転車の乗り方を覚えるのと同じ運動性記憶なので、記憶が定着しやすいのです。

アウトプットをしないと記憶は定着しない 

「本を読んでも、内容が頭に残っていない」ということは、よくあります。
なぜ頭に残らないのかというと、それはインプットだけをして、アウトプットができていないからです。

本を読んだり、セミナーを受けたりすることは大事ですが、それはあくまで知識や情報をインプットしただけの状態です。そこで終わってしまっては、記憶が定着せず、せっかく得た知識や情報も、使われないまま忘れてしまうのです。

それでは、どうすればインプットした知識を、仕事や生活に活かすことができるのでしょうか。次から詳しく見ていきましょう。

長期記憶

新しい知識や情報をインプットしたら、きちんと覚えておきたいと誰もが思います。しかし、脳はそのようにできていません。
インプットした情報は、脳の海馬に2~4週間保管されます。その間、その情報が取り出されて使われなければ、脳は「重要でない情報」と判断して忘れてしまうのです。

そのため長期記憶として定着させたい場合は、だいたいインプットから2週間のうちに3回以上、アウトプットするとよいと言われています。

アウトプットの方法

アウトプットが記憶の定着にとって重要であることをお話ししてきました。
では、アウトプットとは、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?
以下にその一例を挙げます。

アウトプットの方法の例
  • アウトプットを前提として本を読む
  • 読書やセミナーの前に「自分が何を一番学びたいか」考える
  • 誰かに話す
  • 日記や読書の感想を書く

フィードバックをする

アウトプットの後は

アウトプットが記憶の定着に重要であると言いました。しかし、アウトプットをするためには、知識を得るインプットが必要です。
インプットしたら、アウトプットをして記憶に定着させる。これが重要です。
そして、アウトプットまでできたら、次はフィードバックをしましょう。

フィードバックの例

インプット→アウトプット→フィードバックのサイクルのイメージ

フィードバックには、様々な意味がありますが、この場合は「アウトプットの振り返り」と考えるとよいでしょう。
たとえば、学生時代の勉強を思い出してください。
教科書を読み(インプット)、問題を解く(アウトプット)。次にすることは、間違えた問題について「なぜ間違えたのか考える」です。これがフィードバックです。
間違えた理由が分かれば、次に同じような問題があると正解できるようになります。

インプット→アウトプット→フィードバック。このサイクルをつくることができれば、成長スピードが格段に上がります。
また、失敗したことだけでなく、成功したことであっても、フィードバックは行った方が良いです。結果や成果に対して「なぜうまくいったのか」「なぜうまくいかなかったのか」を常に考えて、次のインプットに活かしましょう。

まとめ

インプットとアウトプットはどちらかだけでは、自己成長につなげられません。
インプットをしたら、アウトプットをする。アウトプットをしたら、結果について何が良くて何が悪かったのかの理由を考え、フィードバックをする。
これを繰り返すことで、自分が成長していくのを実感できるでしょう。

参考

  • 樺沢 紫苑『学びを結果に変えるアウトプット大全 』サンクチュアリ出版、2018年
  • 齋藤 孝『究極 読書の全技術』KADOKAWA、2022年