請負契約における成果物の定義について解説

2021年8月27日

請負契約における成果物の定義

請負契約とは、「業務委託契約」の種類の一つです。
「業務委託契約」は民法上の正式な名称ではなく、あくまで「企業から依頼されて報酬を得る業務」の総称を業務委託契約と呼んでいます。

業務委託契約とは

業務委託契約とは、企業が業務の一部や全部の遂行を外部に依頼するものです。
別名アウトソーシングとも呼ばれます。

たとえば事務作業や、システムの専門的な部分の開発などが、業務委託契約の対象として挙げられます。
業務委託契約を行うことで、企業の従業員はより本質的な業務に集中できるというメリットがあります。

「請負契約」「委任契約」「準委任契約」の違い

業務委託契約には主に「請負契約」と「委任契約」があります。
請負契約は「成果物の完成品を作るもの」、委任契約は「業務を委託されて行うもの」です。

委任契約の中でも、

  • 法律行為を委託するもの…委任契約
  • 法律行為ではない業務を委託するもの…準委任契約

といった区別があります。

システム開発などにおいては、とくに「請負契約」と「準委任契約」が多く扱われます。

請負契約の特徴

請負契約は、企業から「成果物の完成を依頼される業務」です。
報酬は完成した成果物に対して発生し、受託した側は成果物を完成させる責任を負います。
そのため、途中で切り上げることになった契約や、完了したけれど成果物に至らなかった契約では、報酬は発生しません。

以上の性質から、請負契約では達成すべき結果・成果物を事前に明確に定義する必要があります。
「成果物を定義できる業務であれば請負契約できる」と捉えるといいでしょう。
たとえばシステムの一部コーディングやアプリそのもの、テストの作成などが成果物として挙げられます。

請負契約はあくまで成果物に着目するため、その経過や作業工程は受託側に一任されます。
労働者を管理するのはあくまで受託側であり、依頼した側は作業者に対する指揮命令権を持たないのが特徴です。

請負契約と委任契約・準委任契約の違い

「成果物を明確に定義できる業務」は請負契約が可能です。
成果物を定義し難いものの、確実に実行しなければならない業務は、「委任契約」「準委任契約」として委託します。
たとえば営業の代行や、新人研修などがその対象です。
これらは成果物ではなく、業務の実行に対して報酬が発生します。
システム開発においては、要件定義やシステムテスト・ユーザーテストなどは、ベンダーはユーザーを支援するという立場になるため、準委任契約の方が適していると言えます。

参考