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【PMBOK第8版】プロジェクトの価値創造とは何か?5つのフォーカス・エリアでの問い方

これまで、PMBOK第8版のプロジェクトにおける「背骨」として「ガバナンス・パフォーマンス領域」を解説しました。

「ガバナンス」という言葉を聞くと、どうしても「ルールを守らせる」「厳しい承認フローを設ける」といった、堅苦しい管理体制をイメージしがちです。
しかし、PMBOK第8版のガバナンス領域の冒頭(2.1.1 Project Value Creation)では、全く異なる本質が語られています。

それは、「ガバナンスの根本的な目的は、手続きを守ることではなく、ポジティブな『価値』を創造することである」という点です。

今回は、プロジェクトの「立ち上げ」から「終結」までの5つのフォーカス・エリアにおいて、私たちがどのように「価値」を問い、ガバナンスを機能させるべきかを解説します。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

5つのフォーカス・エリアにおける「価値の問い方」

プロジェクトの各段階において、単に作業を進めるのではなく、「これは本当に価値に繋がっているのか?」と常に問うこと。それこそが効果的なガバナンス(統治)です。

立ち上げ(Initiating)

成功するプロジェクトは、「このプロジェクトが終わった時、どんな良いこと(望ましい最終状態)が起きるのか?」を明確にすることから始まります。
ビジネスケース(投資対効果など)を明確にすることで、ステークホルダー間で優先順位を合わせ、「価値を生む土台」を整えます。

計画(Planning)

計画のすべての部分は、立ち上げで決めた「プロジェクトの目標(価値)」を念頭に置いて作成されなければなりません。
「あれもこれもやる」のではなく、目標を実現するために本当に必要な成果物や活動だけを特定(整合)していきます。

実行(Executing)

チーム全員が「どんな価値を提供しようとしているのか」を共有できていると、技術的な意思決定やモチベーションに大きな恩恵をもたらします。(※詳しくは後述の【SSAITSの視点】で解説します)

監視・コントロール(Monitoring and Controlling)

プロジェクトが進むと、必ず変更やトラブルが発生します。計画通りにいかなくなった時、「どうやって元の計画に戻すか」ではなく、「どの変更を受け入れれば、最終的な『価値』を最大化できるか?」という視点で軌道修正(ガバナンス)を行います。

終結(Closing)

プロジェクトやフェーズは最終的に終了します。当初の計画通りに価値(インパクト)を達成できたかを検証します。時には、状況の変化によって「これ以上続けても価値を生まない」と判断し、予想より早く終了(早期クローズ)を決断することも、立派なガバナンスです。

【SSAITSの視点】「慣れ」ではなく「ユーザーの価値」で技術を選ぶ

【SSAITSの視点】「慣れ」ではなく「ユーザーの価値」で技術を選ぶ

ここで、実行フェーズにおける「意思決定」について、システムやWeb開発の現場でよく起こる例を挙げてみましょう。

ソフトウェア開発を行う際、プログラミング言語やフレームワーク(技術の土台)を選ぶ場面があります。この時、現場では往々にして以下のような理由で技術が選ばれがちです。

  • 「うちの会社でずっとこの言語を使っているから」
  • 「前回のプロジェクトでこのフレームワークを使って慣れているから」

しかし、ガバナンスの視点から見ると、これは正しい意思決定とは言えません。なぜなら、判断基準が「自分たちの都合」になっており、「価値の創造」に焦点が当たっていないからです。

真に価値を創造するプロジェクトであれば、「それを使うユーザーの価値(使いやすさ、処理スピード、将来の拡張性など)を最大化するためには、どの技術が最適か?」という視点で技術選定が行われるべきです。

ガバナンスとは、「決まったルール通りに技術を選ぶこと」ではありません。「その選択は、本当に価値を生み出しているか?」を問いかけ、手段の目的化を防ぐための「思考の枠組み」なのです。

まとめ

プロジェクトのライフサイクル中には、計画の練り直し、スコープの拡大・縮小、時にはプロジェクトの早期終了など、さまざまな事態が発生します。

しかし、どのような状況でどんな意思決定を下すにしても、常に「包括的な価値提案(Value proposition)が最大の要因であるべきだ」とPMBOKは強調しています。

「ルールだからやる」のではなく、「価値を生むからやる」。
この価値主導のマインドセットを、立ち上げから終結までのすべてのプロセスに組み込むこと。それこそが、現代のプロマネに求められる真の「ガバナンス」の姿なのです。

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