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【PMBOK第8版】「作るか、買うか?」PMの腕が試されるソーシング戦略の計画

PMBOK第8版のガバナンス・パフォーマンス領域を読み解くシリーズ。今回は、プロジェクトに必要な作業や成果物を「どうやって手に入れるか」を決定する「2.1.6.3 ソーシング戦略の計画(Plan Sourcing Strategy)」プロセスについて解説します[1]Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 … Continue reading

プロジェクトを進める上で、すべての作業を自分たちの組織内だけで完結できることは稀です。このプロセスでは、外部の力をどのように活用するかという「調達の戦略全体」を設計していきます。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

究極の選択「Make-or-buy(作るか買うか)」

このプロセスの中心となるのが、「Make-or-buy(作るか買うか)の決定」です。
プロジェクトの作業や成果物を、自組織の内部で実施する(内製・Make)のが最善か、それとも外部ソースから購入・調達する(外注・Buy)べきかを判断します。

これまでも多くのプロジェクトマネージャーが「内製外製分析」を行い、どちらが得なのか、どちらがリスクが低いのかを天秤にかけてきました。
自社で作ればノウハウが蓄積されコントロールも効きますが、リソースが圧迫されます。外部から調達すれば専門知識を活用してスピードアップできますが、コストやコミュニケーションのリスクが発生します。

この「作るか、買うか」の意思決定は、プロジェクトの予算、スケジュール、品質に直結するため、まさにPMやディレクターの「腕の見せ所」と言えます。

【SSAITSの視点】コストだけでベンダーを選んではいけない

外部から調達(Buy)すると決めた場合、次に「ソース選択基準(Source selection criteria)」を確立します。つまり、どのベンダー(供給業者)にお願いするかを評価・選択するためのルール作りです。

実務において、相見積もりをとって「一番価格(コスト)が安いところ」に発注してしまうケースがよく見られます。しかし、外部から資源を調達する際は、コストだけで判断するのは非常に危険です。

PMBOKでも示されている通り、以下のような項目を総合的に評価し、慎重にベンダーを選ぶ必要があります。

  • 技術的能力と過去の実績: 求める品質を満たすスキルと実績があるか。
  • ベンダーの体制と財務の安定性: 途中で倒産したり、担当者が頻繁に変わったりするリスクはないか。
  • 価値観の整合性: 自社のコンプライアンスやセキュリティ基準、持続可能性(サステナビリティ)の目標と合致しているか。

どんなに安くても、ベンダー側の開発体制がずさんであれば、手戻りやコミュニケーションコストが膨れ上がり、結果的に「高くつく」ことになります。

資源マネジメント計画との違い

ちなみに、後の「資源(Resources)」領域で登場する「資源マネジメントの計画」プロセスと名前が似ていますが、役割は異なります。

  • 資源マネジメントの計画: プロジェクト全体のヒト・モノの割り当てやチーム編成(内部リソースのやり繰り含む)を計画します。
  • ソーシング戦略の計画: あくまで「外部へのアウトソーシング(調達)」に特化し、契約タイプやベンダーとの関係性、リスク管理の枠組みを決定します。

プロセスを構成する要素(ITTO)

このプロセスを実行するための具体的なメカニズムは以下の通りです。場合によっては、自社の購買部門や法務部門の担当者を巻き込んで進めることもあります。

  • インプット(前提情報):
    プロジェクト憲章、プロジェクトマネジメント計画書(スコープ、スケジュール、財務など)、要件文書、リスク登録簿など。
  • ツールと技法(作成手段):
    専門家の判断、市場調査、Make-or-buy分析、ソース選択分析など。
  • アウトプット(成果物):
    ソーシング戦略計画書(Sourcing strategy plan)

まとめ:ソーシングは「戦略的なパートナーシップ作り」

「ソーシング戦略の計画」プロセスは、単に「どこから安く買うか」を決める事務手続きではありません。

外部ソースとの関係をどのように管理し、潜在的なリスクにどう対処し、プロジェクトのライフサイクル全体を通じてどうコミュニケーションをとっていくか。プロジェクトを成功に導くための「外部との戦略的なパートナーシップの枠組み」を設計するプロセスなのです。

さらに詳しく分析方法を知りたい方は、下記の記事もご覧ください。

1 Project Management Institute, Inc., The Standard for Project Management and A Guide to the Project Management Body of Knowledge (PMBOK® Guide) – Eighth Edition, 第2部 セクション2.1.6.3(20-21頁)より筆者要約・翻訳。以下、PMBOK第8版(英語版)と略記。
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