PHPのフレームワークにはどのような種類があるのか?導入するメリットと知っておきたいキーワードも解説

2022年11月25日

PHPとは

PHPはWebページを作るための言語です。中でも動的なWebアプリケーションを作ることを得意としています。
また、PHPはサーバーサイドで動くプログラムであるため、サーバ側にあるデータベースと連携した処理を作ることもできます。

フレームワークとは

フレームワークには様々な意味がありますが、プログラミングで使われる場合、アプリケーション開発においてよく使う処理を「枠組み(フレームワーク)」としてまとめたプログラムを指します。

たとえば、ログイン機能やデータの送受信、データベースとの接続など、Webアプリケーションでは頻繁に使用される機能が、PHPのフレームワークにまとめられています。

フレームワークを使うことで1からコードを書く必要がなくなるため、開発効率が良くなったり、セキュリティが向上したりします。
PHPには様々なフレームワークが用意されており、多くのエンジニアはフレームワークを利用してWebアプリケーション開発を行っています。

フレームワークを導入するメリット

ここではWebアプリケーション開発にPHPのフレームワークを導入するメリットを解説します。

開発効率の向上

フレームワークには開発に必要となる機能や処理があらかじめまとめられているため、1からコードを書いていくよりも速いスピードでアプリケーションを完成させることができます。

また、1からコードを書くよりも、フレームワークを利用した方がバグの発生を減らすことができるため、テストにかかる工数も減らすことができます。

安心できるセキュリティ対策

PHPフレームワークには、既にある一定のセキュリティ対策が実施されているため、安心して開発を進めることができます。

Webアプリケーションは様々なユーザがアクセスしてくるため、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティングなどのセキュリティの脅威に常にさらされています。
特に複数の入力を受け付けるようなWebアプリケーションの場合、セキュリティホールができやすく、攻撃を受ける標的となってしまいます。

フレームワークを用いずにPHPで1からコードを書いた場合、セキュリティ対策が漏れてしまったり、対応が十分でなかったりすることがあります。
しかし、フレームワークでは基本的なセキュリティ対策があらかじめ施されているため、安心して開発に専念することができます。

このように、フレームワークに沿って開発を行うことで、細かい知識を持っていなくても、セキュリティ対策ができた安全なWebアプリケーションを開発できることが、フレームワーク導入のメリットです。

コードの統一性が保たれる

フレームワークを利用して開発を行うとコードの統一性が保たれます。
複数人でのチーム開発を行う場合、チーム内のコーディング規約を設けたとしても、個々のプログラマーでコーディングの癖やバラツキが出てしまい、どうしてもコードに統一性がなくなってしまいます。
チーム全員がフレームワークに沿って開発を行うことで、統一性が保たれた読みやすいコードを作ることができます。
コードの可読性が高くなることで作業効率が良くなり、複数人でのチーム開発がスムーズになります。また、バグの修正なども容易になるでしょう。


PHPフレームワークの種類

ここからはWebアプリケーション開発にオススメのPHPフレームワークを紹介していきます。

Laravel

LaravelのWebサイト

Laravel(ララベル)は近年開発で用いられることが急増している、最も人気の高いフレームワークです。2011年に登場した、PHPフレームワークの中では比較的新しいフレームワークです。

初心者でも扱いやすい仕様を持っていながら、後述するフレームワーク「Symfony」をベースに作られているため、ベテランのエンジニアにとっても、学習が容易なフレームワークです。

Laravelは美しいコードを書けることを理念に掲げており、初心者でも読みやすいコードを書くことができます。
Youtubeなど様々なサービスと連携ができるライブラリやログインページや管理者ページをすぐに作成できるライブラリを備えているため、開発効率が大幅にアップします。
システムの規模を問わず、Webアプリケーション全般の開発に向いているフレームワークです。

またLaravelは現在、日本で最も主流なフレームワークのため、インターネット上や書籍において、日本語の情報が充実しています。
これからフレームワークを学ぶ場合は、Laravelから始めることをオススメします。

Laravel のダウンロードは下記のサイトをご利用ください。

CakePHP

CakePHPのWebサイト

CakePHP(ケイクピーエイチピー)は初心者でも簡単に開発ができるフレームワークです。
比較的小規模なWebアプリケーション開発に向いているため、初心者にオススメできるフレームワークの1つです。
動作が速く、軽量で使いやすい他、セキュリティ対策にも強みを持っているため、商用のWebアプリケーション開発にも適しています。

「ケーキを焼くくらい簡単に開発できる」という理念のもとに作られており、「bake(ベイク)」というコマンドによって、アプリケーションの基本的なプログラムコードを自動生成してくれる機能が特徴です。
プログラミング言語「Ruby(ルビー)」のフレームワークであるRuby on Rails(ルビー オン レイルズ)の考え方を取り入れて作られた、2005年に登場したフレームワークです。
日本で人気高いフレームワークのため、日本語のドキュメントも充実しています。

CakePHPのダウンロードは下記のサイトをご利用ください。

Symfony

Symfony(シンフォニー)は大規模なWebサービスの開発に向いているPHPフレームワークです。
前述のCakePHP と同じく、Ruby on Railsの考え方を取り入れて作られた、2005年に登場したフレームワークです。
「バンドル」と呼ばれるひとまとまりのコード群を用いて開発を進めていくのが特徴です。バンドルにはテンプレートやライブラリなど、プログラムを動かすために必要なものを含まれています。そのため、Symfonyでは他人の作ったバンドルを自分のアプリケーションに組み込んで使うといった柔軟性の高い開発を行うことができます。

保守性と安定性を重視しているため、大規模なWebサービスを提供したい場合でも、安心して開発を進めることができます。

前述のLaravelやCakePHPと比較すると最近は人気が下がり気味ですが、現在でも既存の大規模Webサービスにおいては、Symfonyが使われているケースが多数あります。

Symfonyのダウンロードは以下のサイトをご利用ください。

FuelPHP

FuelPHP(フューエルピーエイチピー)は高速かつ軽量なPHPフレームワークです。
2010年に登場したFuelPHPは、Laravelと同様に比較的新しく登場したフレームワークであり、これまで発展してきた既存のPHPフレームワーク(CakePHP、CodeIgniter、Symfonyなど)の良いところを取り入れて作られました。

「規約より設定を重視する」という理念のもとに作られているため、ルールに縛られないコーディングにより、自由なアプリケーション開発ができるようになっています。
軽量かつ高速で、インストールも簡単にでき、すぐに開発に取り掛かれるため、小規模開発や個人的な開発において人気を集めています。
一方、コーディング規約が少ないため、コードの統一性を保つことは難しくなります。そのため、大人数のプログラマーで開発するような大規模開発には不向きであると言えます。

FuelPHPのダウンロードは下記のサイトをご利用ください。

CodeIgniter

CodeIgniter(コードイグナイター)も前述のFuelPHPと同様、コーディング規約が少なく自由度の高いPHPフレームワークです。動作が軽く、簡単なコードでコーディングできるため、小規模開発に向いています。
フレームワーク側で用意されている要素が多く、プログラマーが自分でコーディングする箇所を少なく抑えているため、開発スピードを向上させることが可能です。

CodeIgniterのダウンロードは下記のサイトをご利用ください。

PHPフレームワークを学び始める際に知っておきたいキーワード

「PHPのフレームワークについて調べていたけれど、分からない言葉がたくさん出てくる」と感じている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、PHPフレームワークを語る上でキーワードとなる言葉をいくつか紹介します。

フレームワークのトレンド

PHPフレームワークにはトレンド、すなわち「流行り廃り」があります。
ここ数年間、世界おいても日本においても「Laravel」が最も人気の高いフレームワークとなっていますが、それ以前は日本においては「CakePHP」が高いシェアを占めていました。
トレンドが高いフレームワークの方が、日本語のドキュメントや参考書籍が見つかりやすかったり、開発を任せられるプログラマーを採用しやすかったりと、開発がスムーズに進みます。
PHPフレームワークを開発に採用する際は、トレンドを意識した選定が重要であると言えます。

MVC

ほとんどのPHPのフレームワークにおいて「MVCアーキテクチャ」が採用されています。
MVCとは、プログラムをモデル(Model)ビュー(View)コントローラー(Controller)の3要素に分けて設計やプログラミングを行うことで、プログラムを分かりやすくする手法です。
MVCを意識してプログラムを設計することで、フレームワークの便利さがより実感できるものとなります。
フレームワークに初めて触れる方は、先にMVCモデルについて学習しておくと、スムーズに理解が進むでしょう。

オープンソースソフトウエア(OSS)

多くのPHPフレームワークはオープンソースソフトウエア(OSS)として開発されています。
オープンソースソフトウエアとは、ソースコードが公開されているソフトウェアのことです。またオープンソースソフトウエアは、利用や改良、そして改良したソースコードの再配布を誰でも自由に行うことができます。
ソースコードが公開されていることにより、世界中のプログラマーによって、継続的に改良され続ける仕組みになっており、今後の発展が期待できるソフトウェア開発の方式であると言えます。

まとめ

今回は、PHPのフレームワークについて解説しました。
今やPHPによる商業用サイトの開発においては、フレームワークの活用は必須となっています。
また、様々な種類のPHPフレームワークが世間にはあふれており、日々、新しく更新され続けています。
それぞれの特徴や開発の向き不向き、トレンドや学習コストなどを考慮して、開発したいWebアプリケーションに合わせたフレームワークを選定することが大切です。

参考

書籍

  • 志田仁美(著)、アシアル株式会社(監修)『スラスラわかるPHP 第2版』翔泳社、2021年

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