「プロジェクトマネージャー(PM)なんだから、現場の指揮も、会議の仕切りも、予算の確保も、全部できて当たり前だ」
そんな「スーパーマン」を求める空気感に、息苦しさを感じていませんか?
最新のPMBOK第8版では、こうしたPM一人の肩にかかる重圧を解き放つ、非常に柔軟で現実的なアプローチが示されました。それが「プロジェクトに関連する機能(Functions)」という考え方です。
今回は、プロジェクトを成功に導くために不可欠な「7つの機能」と、これからのPMに求められる新しい視座について解説します。
役割(Role)から機能(Function)への転換
これまでのPMBOKでは、「プロジェクトマネージャーという『役割』の人がこれをやる」という説明が主でした。しかし第8版では、「プロジェクトというシステムを動かすには、以下の7つの『機能(働き)』が必要であり、それを誰が担ってもよい」と定義されています。
つまり、プロマネ一人がすべてを完璧にこなす必要はなく、チームやステークホルダーの中で適切に分担されていれば良いのです。
それでは、その「7つの機能」を具体的に見ていきましょう。
プロジェクトを成功に導く「7つの機能」

1. 監督と調整(Provide Oversight and Coordination)
チームのベクトルを合わせ、障害を取り除き、目標への集中力を維持する機能です。
PMだけでなく、スクラムマスターが「チームに自律的に動くよう促す」こともこの機能に含まれます。
2. フィードバックの要請と管理(Solicit and Manage Feedback)
顧客やユーザーから意見を集め、開発に反映させる機能です。アジャイルな現場では特に重要視されます。
3. ファシリテーションと支援(Facilitate and Support)
コラボレーションを促し、対立を解決し、意思決定を導く機能です。
4. 作業の実行(Perform Work)
実際に成果物を作り出す機能です。最近では、人間だけでなくAI(人工知能)や自動化ツールがこの機能の一部を担うことも想定されています。
5. 専門知識の適用(Apply Expertise)
特定の技術や知見を提供する機能です。チームメンバーだけでなく、必要な期間だけ外部のアドバイザーを招くことも一般的です。
6. 組織的な方向性と洞察(Provide Organizational Direction and Insight)
「そのプロジェクトは組織の利益(ROI)にかなっているか?」をチェックし、優先順位をつける機能です。主にスポンサーやプロダクトオーナーが担います。
7. 資源の提供(Provide Resources)
お金、人、設備、そして「権限」をプロジェクトに与える機能です。
「全部できて一人前」という呪縛からの解放
実際の現場では、制作や作業に近いポジションであればあるほど、ステークホルダーとの交渉や会議を仕切る「窓口役」は苦手だと言う人が多いものです(笑)。
しかしながら、世の中にはいまだに「PMなら全部できて一人前」という雰囲気を持つ会社や組織が少なくありません。
ファシリテーションや交渉事が苦手なら、窓口役を立てて、その人に話してもらうというのは全然恥ずかしいことではありません。私自身、自分一人で抱え込まずに「できる人が、できることをすればよい」という風潮に早く世の中が変わってほしいと常々思っています。
PMBOK第8版が「役割」ではなく「機能」という言葉を使った意図は、まさにここにあると感じています。
まとめ:PMの新しい仕事は「機能のチェック」
これからのプロジェクトマネージャーの最も重要な仕事は、自分ですべてをこなすことではなく、「プロジェクトチームというシステムの中に、これら7つの機能が正しく備わっているかをチェックし、采配すること」です。
- 「今、このチームにはファシリテーション機能が足りないから、補強しよう」
- 「資源の提供機能が弱まっているから、スポンサーに働きかけよう」
このように一歩引いた視点でプロジェクトを俯瞰することで、PM自身の燃え尽きを防ぎ、チーム全体のパフォーマンスを最大化できるはずです。
準備はいいですか? あなた一人で戦う必要はありません。チーム全体で「7つの機能」を使いこなし、価値の提供を目指しましょう!

