内部結束型と橋渡し型、2つのソーシャルキャピタルの使い分け|「仲良しチーム」が成果を出せない理由とは?

「チームの雰囲気は最高で、みんな仲が良い。でも、なぜか新しいアイデアが出てこない……」「逆に、スキルの高いメンバーを集めたのに、連携が取れずにプロジェクトが失敗した」

プロジェクトマネジメントにおいて、チームの人間関係は永遠の課題です。実は、チームのつながり方には「守りに強い形」と「攻めに強い形」の2種類があることをご存知でしょうか?

それが、「内部結束型(Bonding)」と「橋渡し型(Bridging)」という2つのソーシャルキャピタル(社会関係資本)です。今回は、この2つの違いを理解し、プロジェクトのフェーズに合わせて使い分ける方法を解説します。

目次
このサイトの運営者

山脇 弘成(SSAITS代表)

PMP®有資格者・Webプロジェクトマネージャー
大手メディアや官公庁のWebプロジェクト実績多数。
「技術」だけでなく「対話」を重視し、御社の「ほんとは、こうしたかった」を形にします。

ソーシャルキャピタルとは?

ソーシャルキャピタル(SocialCapital:社会関係資本)とは、一言で言えば「人とのつながり(ネットワーク)が生み出す価値」のことです。「あの人は顔が広いから、困った時に助けてもらえる」といった個人の力だけでなく、組織やコミュニティ全体の信頼関係や規範も含まれます。

このソーシャルキャピタルは、その性質によって大きく2つに分類されます。

2つのソーシャルキャピタル

内部結束型ソーシャルキャピタル(Bonding)

特徴:チームを固める「強力な接着剤」

内部結束型(BondingSocialCapital)は、同じ属性や近い関係にある人々(家族、親友、同じ部署のメンバーなど)の間で形成される、強固な結びつきのことです。イメージとしては、素材同士をガッチリと固める「スーパー・グルー(強力接着剤)」のような役割を果たします。

メリット

  • 心理的安全性:「困った時はお互い様」という信頼感が強く、メンタルが安定する。
  • 実行力:阿吽(あうん)の呼吸で動けるため、決まったタスクを遂行するスピードが速い。
  • 相互扶助:ピンチの時に助け合う力が強い。

デメリット

  • 排他性:「身内以外は敵」となりやすく、外部の人や意見を受け入れにくくなる。
  • 同調圧力:異論を唱えにくい空気が生まれ、イノベーション(革新)が起きにくい。

スポーツの大会で優勝を目指すチームや、災害時の復興支援チームなど、「目標が明確で、一致団結して困難を乗り越える必要がある」場合には、この内部結束型が絶大な威力を発揮します。

橋渡し型ソーシャルキャピタル(Bridging)

特徴:外の世界とつながる「潤滑油」

橋渡し型(BridgingSocialCapital)は、異なる属性や遠い関係にある人々(異業種の知人、他部署の人、SNSの緩い繋がりなど)の間で形成される、緩やかな結びつきのことです。イメージとしては、異なる部品同士をスムーズに動かす「潤滑油」や、離れた場所をつなぐ「橋」の役割を果たします。

メリット

  • イノベーション:自分たちが持っていない「新しい情報」や「異質な視点」が入ってくる。
  • 機会の拡大:転職や新規ビジネスなど、新しいチャンスは「緩い繋がり(WeakTies)」からやってくることが多い。

デメリット

  • 脆(もろ)さ:信頼関係が薄いため、困った時に深い助け合いは期待できない。
  • 維持コスト:価値観の違う相手との調整が必要になるため、コミュニケーションにコストがかかる。

新規事業の企画、オープンイノベーション、複雑な問題解決など、「新しいアイデアやひらめきが必要な場面」では、橋渡し型が不可欠です。

PMはどう使い分けるべきか?

プロジェクトマネージャー(PM)は、この2つの性質を理解し、フェーズによって使い分ける必要があります。

イノベーションには「橋渡し型」、実行には「内部結束型」

ティム・ハーフォード著『ひらめきを生み出すカオスの法則』でも触れられていますが、多くのチームは「仲の良さ(内部結束)」ばかりを重視しがちです。しかし、全員が同じ方向を向いている仲良しチームからは、現状を打破するアイデアは生まれません。

フェーズ必要なソーシャルキャピタルPMのアクション例
企画・構想
(アイデアが欲しい)
橋渡し型
(Bridging)
・他部署の人を会議に呼ぶ
・あえて専門外のメンバーを入れる
・雑談や社外交流を推奨する
開発・実行
(スピードが欲しい)
内部結束型
(Bonding)
・チーム合宿を行う
・共通の敵(競合や納期)を設定する
・1on1で信頼関係を深める

最高のチームとは、「外から新しい情報を持ち帰り(橋渡し)、中でガッチリとスクラムを組んで形にする(内部結束)」ことができるチームなのです。

まとめ

  • 内部結束型(接着剤):心理的安全性と実行力を高めるが、閉鎖的になりがち。
  • 橋渡し型(潤滑油):イノベーションとチャンスを生むが、関係は脆い。

もしあなたのチームが行き詰まっているなら、診断してみてください。「仲はいいけどマンネリ化している」なら、外の血を入れる橋渡しが必要です。「優秀だけどバラバラで動かない」なら、飲み会や合宿で内部結束を固める時かもしれません。

参考

  • ティム・ハーフォード(著)、児島修(訳)『ひらめきを生み出すカオスの法則』TAC出版、2017年
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